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どうしようもないくらいに、悲しいことは。


今年も終わりに向かい2022年の足音が聞こえている今日この頃、Twitter上でとある悲劇が起きていた。

とあるTikTokerに対する、余りにも一方的すぎる悪意あるツイートをひとりの大人が呟いた。

明確なツイート画像を掲載するのは、本意に背く形になるので、掲載はしない。

そのツイートにより、TikTokerは活動を休止すると発表した。

このTikTokerは小説の紹介を行う方で、それを本業とはしていない。(これが前提)

そして、因果関係は不明確ではあるが、このTikTokerが紹介した小説が軒並み重版を繰り返し、

ある昔の小説は異例の部数を刷ることとなり一大ムーブメントを巻き起こした。


それに水を差すかのようなツイートをしたひとりの大人は、このTikTokerに対し、

「書評できるのか?」

と刃を向けた。

そして、彼を愛する人々や、小説が好きな人々から様々な声が聞こえてきた。
殆どが、「酷い」というTikTokerの身を案ずるものばかりだった。

しかしながら、少しずつ論点がずれていくこの話題に、冷静な方々の存在も散見できたことが僕は嬉しかった。

ただ一方的にひとりを標的にし叩き上げる風潮は好ましくないし、していいこととは思えない。

だがしかし、今回の出来事は悲劇であったと捉えざるを得なく、この文章をここに記したい。

ちなみに僕はYouTubeで小説の「紹介」を行なっている。

ただそれは殆ど大勢の人に影響のないレベルだと自覚している。

ただ見てくださっている方もいるので、その点は本当に嬉しく思っています。

他のBOOKTUBERと比べてもチャンネル登録者数も少ないし、動画の本数も少ない。
動画の質も決して良いとは思っていない。

もっともっと努力が必要で、変わらなければいけないことばかり。(ここ最近は忙しさにかまけて動画の更新を止めてしまっています。申し訳ありません)

でも、同じく小説の「紹介」を行なっている方がこのような悲劇に遭われたことに対し、憤りを覚えるとともに、途轍もなく悲しくなりました。

そして、このTikTokerを支える方、動画を楽しみにされている方、様々な作家さんが心を痛め、悲しんでいることがあまりにもショックです。
その中には僕の大好きな作家さんもたくさんいらっしゃいます。

昨今の出版不況を打開する方法なんて、はっきりとはわからないけれど、少なからずこのTikTokerのような若者が率先して行動を起こしていた。
そして、少しずつ結果が出てきていた。


そんな中、この悲劇。


久しぶりに自分以外の人のことで、心底傷つきました。

「書評」は「書評」を仕事にしている人だけが行えば良いと僕は思う。

このTikTokerも「紹介」しているだけで、「書評します」だなんて一言も言ってない。

あくまでも「紹介」に過ぎない。
そこに、「書評できるか」なんて問いすらお門違いな気がする。

ただ、どんなきっかけでも本が売れれば良いのではという声には些か頷けない点もあった。

これは、当該の方が仰ったわけではなく、今回の件を受けて、他のTwitterのユーザーたちが言っていた意見。

僕は、とにかく部数が売れれば良いとは思わない。それではただの購買運動と変わらない。届くべき人に届いて、

作家さんが紡いだ
大切な言葉や物語の良さを
知って欲しい

と思う。

SNSやYouTube、TikTok、新聞、テレビ、ラジオなど媒体は様々あり、どこかで「この本を読んでみよう」と思って、その輪が広がることで売上が付いてくれば、作家さんも喜ぶと思うし、そこに「面白かった」「良かった」などという感想があれば、ベスト。
もちろん、良い感想ばかりだけを追い求めていても良くないと思う。


無論、僕は自分が良かった、面白かったと思えた小説しかYouTubeでは紹介しないことにしています。
それは、「面白くなかった」と断定するのはあまりに直截的すぎるからです。

正直、難しい本もあります。
でもそれは面白くないわけではなく、僕には合わなかったというだけの話。

年齢的な部分、
知識的な部分、
時期的な部分、
心の在り方の部分、
様々な「僕」
要因が重なって、その時読んだけれど

「合わなくて、面白さや良さを感じられなかった」

というだけだから。


売れてる本=面白い本。良い本。

ではないと思っています。

まだまだ認知されていないだけで、実は面白い本なんていくらでもあります。
そのひとつひとつを取りこぼしたくないし、埋もれて欲しくないから、誰かに届いて欲しいから、僕はYouTubeや SNSの活動を始めました。
ひとりでも多くの人に

「こんなにも素敵な物語がこの世界にはある」

と知って欲しいから。


だからこそ、今回の件でひとり大切な人が小説紹介の活動を辞めてしまうかもしれないのは本当に残念です。

復活の時まで、ただ待つばかりです。

長い文章になりました。
ここまでお読み頂きありがとうございます。

どうしようもないくらいに、悲しいことは小説を読んで前を向きます。

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