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アウトレイジが日曜のスーパーで10:00

日曜の朝1番でスーパーに並んだ人達

コロナ騒ぎが起きるずっと前、N氏は世田谷区に住んでいた。

真冬の日曜の朝、冷蔵庫におかずが入っていないのに気づいたN氏は、近所のスーパーの10時開店に並んでしまった。

並ぶのは大嫌いなのに、なんだか納豆が無性に食べたくなったのだ。

日曜の朝1番でスーパーに並んだのは6組。小学生くらいの子連れの主婦以外は、50代以降の人が多いようだ。

朝からそんなにソワソワしなくてもいいんじゃないかと思うほど、店内ばかり気にしていて、みんな余裕のない顔をしている。

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「雪が降ってきましたね。今日は夜から横浜のほうで降るって予報だったんですけどね」

おだやかな警備員のおじさんに話しかけられた。

N氏はちょっと腹がへっているくらいでソワソワもせず、ぼんやり突っ立っていたので声をかけやすかったのだろう。

「積もりますかね?あ、そんなことないか、このくらいの寒さじゃ」
「これじゃだいじょうぶでしょうね。あ、開きました。どうぞ、行ってらっしゃい」

買い物カゴを渡される。

「はい、行ってきます」

スーパーに入るだけなのに、ちょっとサービスされて送り出された気分。

朝から毒を吐く老婆

N氏の前でお婆さんと付き添いの女性が買い物をはじめた。お婆さんがカートを押しているのは歩行器代わりか。

付き添いの女性が丁寧な敬語を使っているところをみると、介護施設のヘルパーなのだろう。

お婆さんは朝っぱらから買い物をするのがおもしろくないのか、ブツブツ文句ばかり言っている。

「トマト食べたいけど、こんなとこのトマト買ったって、おいしくないよ。へっ!」

N氏は老人の愚痴など聞き流し、さっさと買い物を済ませてレジへ。

開店直後だったので、レジは2列しか開けていない。お婆さんはN氏のうしろについた。あと2人待つだけだったのだが、それでも気に入らないらしい。

「レジに2人しかいないなんて、おかしいわよね!いつもそんなことないのに、どうしてなのかしら」

付き添いの女性もうんざりだろう。

やっちまったな!のアウトレイジ

そのときだった。すぐ前で清算をすませていた男の客が、レジの女性に大声を張りあげた。

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「なにぃー?! うどんが150円?! 違うだろうがっ!!」

安ジャージにサンダルを履いた、50歳くらいの坊主頭。

「150円じゃねえだろ、100円だろがっ!」

店中に響き渡るガラガラ声。脅し慣れている雰囲気だ。醸し出される、澱み深い人生。

「これは100円って書いてあるとこから取ってきたんだぞ!」

40代後半くらいのレジの女性が震えながら、必死の返答をする。

「いえ、あの、でもこれは、チラシのここにもあるんですが、150円なんです……」
「なーにぃー?! ちょっと待っとけよ!」

ちなみに、なーにぃー?!はクールポコの「やっちまったな!」のあの感じである。男は黙って特売うどん。男は黙って特売うどん。

さて、坊主はなにをしようというのか?レジは完全麻痺に陥った。

続編はこちらです。



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