結婚を決意した理由

ちと過去を振り返るのも飽きてきたのでそろそろ終わらせたい。


Y子と同棲を始めて一年が経った頃、Y子は煮え切らない俺についに痺れを切らしたのか、「結婚するのか別れるのか、そろそろ決めて欲しい」と言うニュアンスの事を言ってくる様になった。

俺自身そろそろ決断しないといけないとは常々思っていたが、決断できずにいた。

決断できない理由は、やはり「結婚するともう恋が出来ない」と言う事に尽きると思う。

これまで心底好きになった女性と付き合って、長く続いた事が無い。

Y子とは出会ってからトントン拍子で付き合う事になったし、正直「好きで好きでしょうがない」と言う程の恋心を抱く事は無かった。

でも結婚相手としては理想的な性格だと思って離れがたく何度も別れの危機はあったのに付き合い続けていた。
ついには一度裏切って他の女性と付き合う為にY子と別れたのに、それでもヨリを戻した以上、結婚するのは暗黙の了解とも言えた。

いやでも、やはり他の女性とまだまだ恋愛出来る可能性を捨てたくない。
燃え上がる様な恋心を持った相手と長く付き合って、結婚もしくは別れると言う何らかの結末を迎えると言う経験をしないまま、恋愛の可能性を終わらせても後悔しないだろうか。

考えが行ったり来たりで全然まとまらなかった。
自分勝手だとは思う物の、決断する決定的な決め手が無かった。

しかしY子と過ごす5回目のクリスマスの夜。
俺はふとした事がきっかけでY子と結婚する事を決めたのだった。


クリスマスシーズンでは俺とY子の定番デートスポットとなっていた宮ヶ瀬湖にある「日本一大きいクリスマスツリー」に車で向かってる途中、また結婚の話が出た。
良い機会だからと色々お互いの考えをすり合わせた。

実はそれまでに俺が結婚に踏み切れないでいる理由は洗いざらい伝えていた。

話したのは以下の様な内容だ。

・結婚してからもセカンドハウスを別に借りる。賃料は折半でY子も仕事が遅くなった時などに使用するが、週末は基本的に俺が使って良い。

・風俗はOK。素人の女の子との恋愛(不倫)はNG。

風俗はともかく、セカンドハウスを借りる事をOKするって事は隠れてする分には素人の子と女遊びするのもOKと勝手に解釈した。

それなら結婚してからも恋愛が出来なくなる訳ではない。じゃあ結婚しても良いかな。

俺が結婚を決意したのはそんな理由だった。
ゲスな理由である事は重々承知している。


ただ、それがもう3年以上前の話になるが、これまでセカンドハウスに女性を連れ込んだ事は一度もない。

と言うか既にセカンドハウスは解約してしまっている。結婚した後も街コンなどにはたまに行ってたのだが、どうにもモチベーションが上がらないのと、やはり年齢も30代後半にもなってくると、若い頃よりも圧倒的にデートに繋げられる確率が少なくなった。

端的に言うとモテなくなって来てしまったのだ。

また、結婚して以降はあれだけ色んな女性に目移りしていた惚れっぽい俺が、一度も女性に恋心を抱かなかった。

次第に、「結婚したから自制心が働いて恋をしなくなったのか?」と考えるようになった。
そうなるともうセカンドハウスの存在価値が無くなる。
婚外恋愛にはもう情熱が失せてしまった様だし(一度もしてないのに)、これからは穏やかな結婚生活を送ろう。
一種の諦めとも言えるがそう心に決めた。

それが去年の年末の話だ。

そんな矢先にまた恋をしてしまうなんて、この時は夢にも思っていなかった。

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