子どもに任せるとは。

俺は、小学校の先生になる前に「サドベリースクール」という、いわゆるフリースクールの1つの種類である学校に興味を持って、それを見に行っていた。運良くそれを仕事としてお手伝いをしてインタビューをしに行ったのだけど、そこでの子どもたちとの出会いは結構衝撃的だった。ここで書くと長くなっちゃうから割愛するんだけど、まぁとにかく自立している。自分のことは自分でやる、そして他人に必要以上に介入しない(こっちの方が体感的に驚いた)。そして、あぁ子どもたちって本当に自分で育っていけるんだなぁと思う経験をした。(サドベリーについて知りたい人は Youtubeで検索して動画を見ることをおすすめします。)

そして、そのイメージと可能性を持って現場に入ったものだから、とにかく自主自立で回していきたい、というのがあった。見ちゃってるし。そして忘れもしない初めての学級会のとき。お題があったので、子どもたちで決めて決まったら教えてください、と言った。それだけ。そして、荒れた。今思ったらそりゃそうだろ、って感じなんだけど、まぁ荒れた。ひどいもんだった。なんか不思議でしょうがなかった。出来る子たちもいて、出来ない子たちもいて、こりゃなんなんだろう、と思った。そしてそのあと、似たような出来事があった。運動会の応援団の指導を任された。運動会の応援団は、6年生が主に取り仕切る。自分たちで考えて4、5年生に教えて、ということを昼休みとかにやるやつ。そして個人的には、それぞれ自分たちが好きに考えてやってるんだろうな、と思った。でもそれも結果、うちのカラーだけやたら進度が遅いという展開になった。

見かねた再任用のベテランの先生は、俺の代わりに、先生だったらこうするわ、と言って、先生なりの時代を感じるようなものだったけど、応援団の振る舞いをしてくれた。そして、子どもたちがそれを見て、ハッとしていたのもわかった。この子たちは、モデルがなかったんかもな。という気持ちもした。その後職員室でその先生と、その件について話をした。俺は若いなりに自分の持論を展開した。サドベリーの話をして、そもそも、大人が手を出さなきゃ子どもは自分たちでやるんでは、と言う話をした。するとそのベテラン先生は「しらた先生がやってるのは、まだ泳いだことのない子たちを海に投げ捨てて、あそこの岸まで行ってこいと言ってるようなものだよ。」と言った。それはなんというか、むむむなるほど、と言った感じだった。その後、その先生に俺は『世界一素敵な学校』というサドベリースクールの本を貸し、先生からは『椎の木学校』という本を借りた。これが本当に名作で、素晴らしい本だった。俺の言っているようなことを数十年前の日本で実際にやっていた学校の話だった。この本を貸してくれるあたりのセンス、すげえな、と思った。そして俺の本も謙虚に、読んでくださった。

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