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僕と拠り所〜王位開戦編 宇宙雲の矛先
あの日と似た夜がまた始まった。
?「そんな安っぽい影を出したところでこのヘカトンケイルには太刀打ちできないよ!」
巨大なロボットがダイダラめがけて空高く上げた拳を振り下ろす。
山がうなりをあげダイダラが動き出すもその大きな拳に一瞬にして飲み込まれ押し潰された。
茂庭「ダイダラを一撃で…一体この神は何者なんだ…」
?「俺たちは王位と言ったはずだ。」
ならばと茂庭はすかさず空間の闇を切り裂きその中から鬼を出そうとする。
茂庭「魍魎…」
高嶺「ダメ!一葉!今鬼を出しちゃいけない…」
ガラスのように透き通る瞳を輝かせながら高嶺は千里眼を使う。
高嶺「今ここで使えばみんな死んでしまう…えっ…何?…嘘…その先が見えない…霧のようなものが立ち込めてその後の私たちが見えない…」
茂庭「恭子?チッ…鬼神もダメなのか…じゃあ…」
これならどうだと、茂庭が手を広げると地面から3つの扉が現れた。
茂庭「もうあの日のようなことは起こさせない。僕が全力で食い止める。」
俺はポンと茂庭の肩を叩いた。
出流「俺もです。誰も傷つけさせない。」
茂庭「出流…」
直人「俺たちもいるぜ。なーに二人だけで熱くなっちゃって」
ミチオ「それじゃ王位開戦とやらを始めようじゃないか…ほうほう、これがあの時話していた扉の中の少女か…」
?「何ごちゃごちゃ言ってやがる!ヘカトンケイルあいつら全員吹き飛ばせ!」
巨神が手を大きく振り上げ再度地面に叩きつけようとした。
みつき「次元転移!!!」
ヘカトンケイルの腕の先に真四角の大穴が現れその先はどこかへと消える。
みつき「早くドアを叩きなさい!時間がないわ…彼らがきたらここは戦場になる。だから…早く彼を止めなさい!」
千秋「他にもこんな敵がここに来るってこと?」
千鶴「やばし………」
茂庭「ミチオ1番左の扉だ!」
ミチオは扉の前に立ちコンコンとノックした。
茂庭「王位よ…死ね…」
ミチオはニヤリと少し不気味な笑みを浮かべた。
俺はそんな彼の表情を見たのは初めてだった。
出流「ミチオ!待って!」
俺の言葉はその時彼に届いただろうか…
コンコンコン
ミチオ「花子さん。遊びましょ。」
ゴゴゴト轟音をたてその扉が開いた。
そこから2本の腕がピチョ、ピチョと音を立てて這いずり出てくる。
怪異「い…いいっ……よぉぉ〜………」
あたりには異臭が立ち込める。
ぐぎぎと音を立てながら細長い腕が道雄の頬に触れる。
出流「ミチオ!花子さんって…」
ミチオ「ハハハ…人には脅威だろうが、僕たち神からしたら人間の想像でしかない。ほら、おいで花子さん。僕と一緒にあの大きな悪い大人を懲らしめ殺そう。」
怪異「ギーーーーギャーーーーーーーーーー」
まるで蜘蛛のように地面を蹴り扉から這い出てくるそれは俺たちが考えてるような妖怪とは異なり憎悪で焼け爛れた皮膚と恐怖で変形した顔を見て俺は身動きが取れなくなった。
ミチオ「こんなに可愛い子が…少し前の出流を見ているようだ。君にももし…拠り所ができていたならこうならなくて済んだのに…あの時あの場所で…ああなるとは思わなかっただろう。辛い思いをしたね。さぁその命を燃やす時が来たようだ。思う存分暴れてくれ。その後は………その後はその日の君に戻ればいい。きっと誰かが…君を愛してくれるはずさ。」
そうミチオがいうとその怪異はヘカトンケイルの足元にしがみつき、ガジガジと噛み砕いていく。
ゴアァァァァァとヘカトンケイルが海に落ちる。
?「ヘカトンケイル!?何をしている。起き上がれ!お前はギリシアの神…こんな雑魚にやられるのか?」
直人「なるほどな…ちっとはわかってきたぜ神ってのは何も日本の神だけに縛られないってことか」
茂庭「ギリシア神話…待って…でも今まではそんな…」
姫花「そういえば私も疑問に思っていました…そもそもヒトガミとは…私たちの一族の教えとは一体。」
姫花が急に白目を剥きその場に倒れる。
ヒメコ「姫花様???」
ヒメコが振り返るとそこにはヒメノが立っていた。
ヒメコ「嘘…ヒメノ?姫乃がやったの?嘘だって言って…」
ヒメノ「しらねぇ方がいい真実もあるだろうが…ブタは黙ってろよ…」
直人「ヒメノ?お前…」
ヒメノ「王位開戦ってのを聞いたのは私が死んだ時だ…運命の分岐地点で直人が犠牲になると見せられてな…そう…ヒトガミなんてこの世にそもそも存在しない…なぜなら無宗教が知らず知らずのうちに生み出した神なのだから…だから…」
ヒメコ「お姉様…ダメ…それじゃ私の存在意義が…」
ヒメノはヒメコを抱きしめた。
ヒメノ「違うよ。私たちの意義は認知していてくれる人の護衛…人神一体なんて祠の命を削ること…本当はそんなことしちゃいけない…だから…この戦いに姫花は入ってほしくない…うちの妹だから…遠く遠く…私たちが見えなくなっても移動しなさい!あんたはうちの家族を守る義務があるんだから!」
ヒメコ「お姉様…」
ヒメノ「ほーら、とっとといったいった…その時までちゃんと守ってやりなさい。」
わかりましたと泣きながらヒメコは姫花をおぶり遠くの方へと飛び去った。
ヒメノ「ふーこれでやっと」
直人「ヒメノお前…」
ヒメノ「これが終わったらこんな広い部屋でいっぱいなーたんとえちえち出来るね!」
直人「アホかお前ーーーーーーーーー」
直人「まぁ、でもそういうことなんだろう?お前は姫花を守った。でも俺たちはここで奴を倒さなきゃねぇ…そうなっちまったんなら仕方ねぇ…ゴルァァァァァァァこのクソ巨人野郎!俺たちが相手してやるぜーーー!」
みつき「あなたたちは何ぼさっとしているの!!」
直人「みつき先生!大丈夫!俺らで…ってか茂庭とミチオがもう倒しちゃいそうっす!あれ…でもおかしいな…それなら姫花をわざわざ気絶させてまで逃す必要なんかあったのか?」
出流「ありゃりゃりゃりゃりゃりゃーーーーー」
俺は腰を抜かしながら海に沈んだ巨神を見ていた。
叫びながら海に倒れ込んだから、あっこれ勝ったなと思った。
でも違った。
だって………
?「ヘカトンケイル!どうした?起きろ!起きろよ!」
あのあいつの口元が笑っているんだ。
?「起きろ!ヘカトンケイル!起きてくれ!なぁ…ヘカトンケイル…頼むよ…お願いだから…ねぇ…ねぇ…ねぇ…ェッヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ」
茂庭「おかしくなったか…」
?「へへへへへへへ…あーーーー花子さんは妖怪…そうか…ヘカトンケイルのウィークポイントは足だと判断したか…ヘャヘャヘャヘャヘャ!あーうける!」
?が指を振りながらこちらに近づいてくる。
?「君…ミチオと言ったね…君は出流。直人。ヒメノ。みつき。一葉。恭子。」
笑みを浮かべながら俺たちを見つめながら辺りをぐるぐると回り始める。
?「たくさん仲間がいていいね!楽しいでしょ貴様ら!」
直人「こいつ…ぶっ潰そうか…」
茂庭「やめておけ…もし神が生きているのなら祠を失って暴走されるし、そうでないとしても今度は殺人犯になってしまう。」
直人「チッめんどくぜーなこのガキ…」
スキップを踏みながら俺たちの周りを周り俺の前で足を止めて俺の顔を覗き込む。
?「君が王位だよね本物の!」
出流「そうだけど…」
?「君の力は?」
出流「いうわけないだろ…」
?「教えてくれないの?残念…じゃぁ君の拠り所は?」
ミチオ「あんまり僕の祠に近づかないで欲しいな。」
?「あーーーーミチオ君かぁ!君が祠なのかぁ」
直人「おいクソガキ…テメェウゼェんだよ」
直人が?の肩を引っ張ると逆に直人の肩を鷲掴みにして?は微笑んだ。
?「偽物だ!ヘヘヘャ!偽のもの…お前…」
直人「なんだこいつ気持ち悪りぃ…離せ…」
直人に殴られて砂浜に顔面から落ちた?はすぐに顔を上げて振り返りみんなを見回して笑った。
?「ヘヘヘャ!仲間…仲間!僕の仲間はヘカトンケイル。ヘカトンケイル!ヘカトンケイル!ヘカトンケイル!」
出流「この人…おかしくなってますよ…」
直人「あぁ…気持ち悪りぃ…」
笑いながら両腕を高く上げキラキラした瞳で夜空を見つめる。
?「ヘヘヘャ!ヘカトンケイルヘカトンケイル…………………………僕は仲間なんていらないよ。ねぇアンソロジー…」
その時、海面下で揺れる炎がこちらに向かってくる。
アンソロジー「詞華って呼べって何回も言ってるでしょ。もう…ハインツ」
ハインツ「それじゃ僕がこの名前なのおかしくなっちゃうじゃないか!君はアンソロジーだ!カタカナのアンソロジー!だ!」
直人「ちっ…仲間がいたか…」
茂庭「この余裕の表情…そういうことか…」
ハインツ「アンソロジーは仲間じゃない…彼女は火の神を慕えてるからね…僕のチームには必要ないのさ。彼女がついていくって勝手についてきたのだから僕は仕方なくそうしてるだけ…ヘヘヘャ!でもありがとう!彼女はなんの役にも立たないけど…僕を認知してくれてるんだ!いわゆる好きってやつ!ヘヘヘャ!僕にはそんな感情ないんだけどね!面白いからなんとなくで生かしてるの!」
アンソロジー「そうだね…好きにいいなって…」
ハインツ「僕の力…そう…炎とは関係ない…僕の力!」
風が舞い上がり、海面が揺れ始める。
ミチオ「一体これは…出流捕まって…」
出流「なんだこれ…」
直人「チッ…ヒメノ!戦闘態勢だ…」
茂庭「全く…言葉の内容が意味不明だよ…巨人が倒れて女が現れて、海面が唸って…鬼神よ…教えてくれないの?王位開戦って…」
ハインツ「アビリティ!エリグモス!ハインツ。ヘカトンケイル。」
アンソロジー「いきなりヘカトン?ダメ…ハインツ!」
ハインツ「うるさい!ここで勝たなきゃ…僕はどうしたらいいんだ…またあんな場所に戻りたくない…アンソロジー!お前もそうだろ!」
海面からたくさんの腕が伸びる。
ハインツ「僕のアビリティはヘカトンケイルに乗り込む力だ。こいよ…王位のミチオ!ここでお前らを倒す。王位開戦。死んでたまるか…僕が絶対この戦いで生き残ってやる。最後の最後まで…そう…守るために………ヘヘヘャ……を守るために!」
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