僕と拠り所〜王位開戦編 宇宙の矛先 僕たちの未来③
茂庭「上…どうしてここに…」
八咫「どうしてって…この状況…カミツカミにとっては最高の景色だと思うがね。ったく高みの見物決め込もうとしたらお前がこの有様…あの狭間の鬼たちはどうしたんだ?」
茂庭の心臓に痛みが走った。
それは心臓という心に干渉する痛みだ。
茂庭「何故ここに上がいるのかと…聞いているんだ…」
八咫は上目遣いで茂庭を見下ろしながら言った。
八咫「内通者がいる…とだけ言っておこう。」
その言葉を聞いた瞬間、茂庭の肩はがくりと落ち高嶺を抱きしめた腕が脱力しその場に崩れ落ち笑った。
茂庭「そうか…………あそこでやり合ってる火柱を立てる怪異…あれは閻魔と呼ばれていた…僕と同じ狭間ではなく魍魎道という言わば地獄と現世をつなぐ橋渡しをする力を唱えたのが、その近くにいる亜門という男だ…」
八咫は茂庭の腕に肩を回しそっと地面に横にならせた。
それは亜門が出した魍魎道に逆らうべく長い間その力を使ったが無意味に終わってしまった茂庭の体力を考えて行ったことだった。
八咫「お前と同じ能力持ちか…しかも閻魔と言ったな…おかしい…忘れ去られるはずもない神が何故この戦いに…」
茂庭「わからない…わからないけど…実際に起きてる…」
山奥から無数の矢が放たれた。
茂庭「上…後ろ!」
八咫「あぁ?分かってるよ…言霊…絶対防御」
無数の矢は直人や全ての神と人に接触したのちに砕け散って灰となった。
茂庭「感心するよ…君には…ありがとう。」
八咫「神………だからな…その言葉は今は必要ねぇ…」
茂庭「言わせてくれよ…」
八咫「ったく…護神会だのカミツカミだの…今は関係ねぇーよ…」
八咫「言霊…隠れているやつは全員こちらにきてもらおう。」
森の中
摩利支天「ん?何故矢が…まさか…」
鏡「まーた殺せなかった…下手くそ…」
摩利支天「違う…永従結界は破った…はず…」
大葉枝「うーん…間違いなく貫通付与したしね」
小葉枝「脆も付与してあるから間違いないとは思う、ってか絶対間違いない!」
鏡「そかそか!じゃああいつらの方に直接行って頃そう!」
摩利支天「待て…鏡…いつから考えが変わった…今までそんなこと…行ったことなかったじゃないか…」
彼女らの足元がぐにゃりと歪み皆体制を崩した。
その地面はまるで土砂崩れのように斜面になり茂庭たちのいる方に傾いていく。
大葉枝「キャー何これ!修復付与!修復付与!」
小葉枝「ダメだ…付与能力に対して上書きされている…なんだこの力ーーーー」
鏡「キャー滑り台だーーー!」
摩利支天「なんだその口調は……何かがおかしい…付与能力は絶対のはず…なのにこれほどまでに強い力は…………はっ…まさか……言霊………スサノオの末裔がいるのか…」
摩利支天の耳元で吐息が漏れた。
八咫「クシシ…仲良くしようぜ」
摩利支天はその姿の方に弓矢を飛ばすがそれは影となり笑い声と共に暗闇へと消えた。
摩利支天「大葉枝!小葉枝!これはスサノオの力だ!聞こえているな?スサノオだ!今私たちは彼らの方に引き摺り出されている!」
摩利支天は落ちる体に身を任せながら前傾姿勢で弓矢を構える。
摩利支天「言霊にも穴は有る…大丈夫…今なら行ける…鏡!」
鏡「早く!あっちに行こ!ニャーハハハ…あいつら殺して亜門様のお嫁になりたい!だから!」
鏡「可逆!リバース!」
大葉枝「なる〜これなら行けるかも…でも眠い…とりあえず着弾爆破付与。」
小葉枝「だから〜お前は寝るな〜!とりあえず対象は彼らね…えーっと…じゃあ…能力自体には干渉できないから…悩むけど…やっぱり脆…脆が一番やわ〜」
地上に降りてきた神たちと地上にいる神たちがお互いを見つめ合っている。
鏡「や、やほー…あ、あの…あのー!」
摩利支天「何故に…吃る…先ほどは奇襲をかけてすまなかった。王位開戦が始まったのでな…手加減無しの潰し合い…いや…殺し合いを始めよう。」
直人「おめーらが姫花をここまでしたのか?」
ヒメノ「クソビッチって〜のはああいう奴らのことを言うんだよ…ボケが…」
高嶺「まだ…未来が見えない…どうしてだろう…」
茂庭「恭子…大丈夫…今は彼らに任せて君は少し休んだ方がいい…」
八咫「クシシ…執行対象だ…さっさと片付けよーぜ。」
直人「誰がテメーの指図を受けるかよ…まだ周の事忘れてねぇーからな…」
八咫「あれから毎日墓参りをしているよ…罪滅ぼしではなく責任としてな…許してもらおうとはしていない…ただ今は目の前の相手に集中する事だ…」
直人「殴るだけじゃすまねーぞ…」
八咫「その気持ちは一番分かっているつもりだ。」
潮風が辺りを舞い…宇宙は静けさを保っていた。
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