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漢字で感じる人間学36(赦・ゆるす1)

「ゆるす」と読む漢字は、普通「許す」と書きます。これで、日常生活で発生する「ゆるす」はほぼ事足りるのですが、それ以外にもいろんな「ゆるす」があります。それをみていきます。

恩赦の「赦」。「赦す」で「ゆるす」です。昔の文字はこんな感じの字です。もともとの字源はどうだったのかというと、白川静先生の解釈を引用してみます。

赦(篆文)

【字源】会意。赤と攴(ぼく 攵)を組み合わせた形。赤は大(手足を広げて立つ人を正面から見た形)に下から火を加えて清める儀礼で、穢れのある者に対して行う懲罰的な穢れを祓う方法である。さらに木の枝を又(ゆう 手の形)に持つ形の攴を加えて殴(う)ち、罪を祓い清めることを赦という。それが赦免(罪をゆるすこと)の方法であった。赦は「罪をゆるす、ゆるす」の意味に用いる。(常用字解)

穢れのある人を清めることが「赦」のもとの意味となっています。火で清めるとともに、木の棒でうつことで罪を清め、それによって無罪放免となる。

昔の「百叩き」とかも、痛みを与えることで、自分の罪の重さを知らしめるというだけでなく、叩くことで穢れを払い、改心を促す意図があったのかもしれません。

また、禅の修行でも、「警策(けいさく)」といって、師匠が参禅者の背中を叩く木の棒がありますが、それにも近いものがあるかもしれません。痛みもただ苦しいものというだけでなく、それによって自覚が促されるという側面もあります。

罪を犯した人の穢れを清めて「ゆるす」が「赦す」です。

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