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爆盛り炒飯はSM

「肉玉炒飯」 萬龍@御茶ノ水

 暴力は是か非か?
 もちろんあって良い暴力なんてものは存在しない、と思っている。
 一方的な暴力にしろ双方的なものにしろダメに決まっているが、一方、SMなどを考えた場合はどうか? 受ける側・与える側に共通の意識があれば、それは正しく存在する限定的な暴力となり、互いがwin-winである限り暴力ではなく別の何かに変容する。

 出てきたその一皿を見て、そんなことを考えた。
 腹が減っていた。何を食べようかと新御茶ノ水駅に向かっていたら目の前にそのお店が現れた。「萬龍」。腹ペコだからメニューを見て即決した。

 が、肉がどっさり乗ったチャーハンに大きめ焼売が2個デフォルトでついてくるという衝撃を受けている。
 もちろん、メニューを見て頼んでいるのだから、こちらは受け取る準備と覚悟があって注文をしている。それでも出てきた皿を見て、慄きと魅了のどちらも感じている。そうなのだ。多分、このメニューを頼む人は真性のMなのだ。これからしこたまストマックを打ち付けられることに快楽を期待している。

肉玉炒飯

 普通のチャーハンの上に、オムレツのような卵が乗って、さらに甘辛な豚焼肉が乗っているというデブにはたまらない仕様。いや、これはチャーハンではないな。
 焼肉とオムレツというおかずに、白飯代わりにチャーハンが用意された一つの定食だ。それをただ上に重ねているに過ぎない。

 たまらなく旨い。豚焼肉も濃い味付けで、炒飯が進む進む。その炒飯もパラパラで旨い。味が濃いなぁと思ったら挟まれた卵を多めに口に運べば至極のバランスで楽しめる。さらに焼売もいい感じで、チャーハンのワンプレートの理想形を見せられた感じがした。

 もちろんこのボリュームなので、僕の内蔵は井上尚弥の連打を喰らったようなダメージを受けたのだけど、そのダメージは心地よく、また数時間後に味わいたいくらいの快楽を伴っている。

 これからの午後の仕事に支障をきたすことはわかっているが、この暴力による快楽に身を委ねる自分を制することができない。
 はい、僕はブタ野郎です。ダメ人間です。と首を垂れて懇願してしまうのだ。

 ああ、ダメ人間、万歳!


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