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【臨床日記】バイオリンによる姿勢変化が腰部側弯を惹起したケース

側弯症には遺伝性が大きく関与する思春期特発性側弯症を主とし椎体変形のある構築性側弯症と、椎体の変形のない機能性側弯症があります。今回のケースは機能性から構築性に移行したケースです。

13歳で学校検診で発見。現在は経過観察中で、装具処方はありません。コブ角は約40度です。

まずは腰部タイプというところが特発性の典型ではありません。また生理的弯曲もあります。家族歴もありません。これも典型とは異なります。

このように、典型でない場合は、環境や習慣的要因を考える必要がありますが、残念ながら病院で精査されることはありません。レントゲンで角度を測って終わりです。側弯症は構築性だという断定で思考停止です。ここに来る前の病院では理学療法士にもみてもらっていたようですが、歩行分析、骨格特性の検査などの精査はなく四つ這いの体操指導くらいだったそうです、、、。

さて、精査をしていくと、脚長差がなんと10㎜ありました。そして、バイオリンの姿勢が、まさに左荷重で上半身左シフト、そして腰部を潰す姿勢そのものでした。6歳から始めていたということですから、その影響は大きいでしょう。

しかし、全てのバイオリニストが腰部側弯を持っているわけではありません。では、なぜ彼女は側弯になったのでしょうか?

それは、ラキシティ(関節弛緩性)という特徴を持っていたのです。靭帯が緩いのですね。膝の過伸展、足の過背屈、扁平足などの特徴を持っていました。また、関節が緩いのに運動は苦手ということで、筋力低下が認められました。少しの筋トレでも疲れていました。

関節が緩い、でも支えるべき筋力がない、そして繰り返しの偏った姿勢による荷重ストレスです。これで背骨が変形しないわけがありません。骨盤も左の荷重側はやや内転という開いた状態になっていました。

このように、習慣は背骨を変形させます。そして、同じく修正は習慣的なストレスを逆に加えて戻していきます。そのためには、特に腰部に関しては回旋偏位があれば装具がとても重要になります。

発生メカニズムが明確なので、修正の方向性も明確です。病院で装具の処方はありませんでしたが、必須なケースです。経過観察では悪化しかあり得ない状態です。こうやって変形を手術適応まで待っているのが残念ながら多くの病院の対応です、、、。

また筋トレも重要です。体幹トレーニングを中心に正中化して、筋力でバイオリンが弾けるように体を鍛えなければいけません。

今回のケースは、残念ながら今の日本では側弯トレーニングでしか救えないケースです。本当に残念ですが、まだまだこのような精査をする専門家が足りません。マイノリティです。でもこうやって救える!という方と出会うと、地道に啓蒙していこうとまた思いを新たにします。将来のいつか、ここにきたことを思い出し、筋トレして装具して良かったという日が必ず来るでしょう。その時の笑顔が僕は待ちどうしいです。

側弯症の方の置かれている日本の状態はとても残念ながら医師の無知と諦めによって最適な選択をする機会を奪われています。今回のケースもネット検索で調べてきていただけたようですが、親御さんの努力に答えられて幸いです。

装具に関しては、白石接骨院のゲンシンゲン装具が唯一東京では信頼に値する装具です。彼女もおそらくその装具によって、人生が変わるでしょう。

来月第13期の側弯トレーニングの認定講座が開催されます。専門家の方で、今回のケースのような方を救いたいと思った方はぜひ参加して下さい。まだまだ仲間が必要です。

希望としては装具がもっと3Dのものが同じく広まってくれるといいのですが、、、。そこは、利権やプライドなどが邪魔して中々上手くいきません。義肢装具士の方で我こそはという方がいたらぜひ声をかけて下さい。運動療法と装具療法は両輪です。

僕ができることは少ないですが、少しでも来店された方々の未来が笑顔になりますように、もっともっと精進します。

よろしければサポートをお願いします。私自身ではまだまだ微力です。当たり前の選択や情報を得ることができていない方々に、予防医学の視点で、知らなかったことで損した方を少しでも減らすよう、有益な情報を発信していきます。皆様の応援を励みに、より精進して行きます。応援ありがとうございます。