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【臨床日記】重力に負ける習慣が体を蝕む

不良姿勢の代表は猫背や腰曲がりなどでしょう。
それらは、重力との関係でいうと、重力に負けた姿勢です。
僕たちは脱力すると丸く潰れます。
これは重力が僕らを上から押し潰しているから(引力が地面に引っ張っているから)です。
重力に抵抗する筋肉は抗重力伸展活動といわれ、いわゆる背筋の深層筋である多裂筋になります。

UPRIGHTには様々な方が相談にいらっしゃいますが、その中でも腰痛はやはり多い悩みになります。
よく見ると脊柱に変形を起こしていたりします。
ではなぜそのような不良姿勢になってしまったのでしょうか。

必ず問診をしながら今までの生活や既往歴、運動歴を確認します。
そこで見えてくるのは、本人があまり気にしていなかった習慣です。
横座りをしていた、横を向いていつもご飯を食べていた、寝る向きがいつも片方のみ下にしていた、スポーツである方向だけ動かしていた、、、。

ぶつかった転んだなどの外傷の場合は、本人もそれがきっかけで今の症状が出たという自覚がありますが、習慣となると自覚がないものですから、症状との因果関係を直ぐに理解することは難しいのが現状です。
特に、姿勢を指摘してもいつも同じ姿勢ですから、脳はもうそこが普通と認識していて、正しいところに修正すると、その正しい方を異常だと感じてしまいます。
習慣というのは、本当に厄介でして、異常が恒常的になると異常でなくなるという、脳の慣れがことを複雑にそして無自覚にしてしまいます。

いつもいうのですが、我々は現代の生活環境が普通だと思って生きています。
しかし、100年前はまるで違う環境でした。
例えば1924年(大正13年)は関東大震災の翌年ですし、その20年前は日露戦争です。
200年前の1824年は江戸時代ですし、葛飾北斎の時代です。
今とはまるで違う環境です。
つまり、今の常識や普通という環境はとっても新しいある意味では今という限局した状況です。

現代の猫背や腰痛はパソコン、タブレットの影響は相当あるでしょう。
スマホなんてここ20年くらいの話です。
iPhoneだってまだ15です。
僕の学生の頃はワードプロセッサー、フロッピーディスクの時代です。
第3次産業が増えたことも、現代病の背景でしょう。

僕たちは無意識に環境から多くの影響を受け、その環境に適応するように身体を動かされています。
こういう環境からの誘導をアフォーダンスと言いますが、まさにこの環境による無意識下の影響が習慣です。
オフィスワーカーはオフィスにアフォードされ、オフィスの身体が習慣化されます。
スマホを持っている方は、スマホにアフォードされ、スマホに身体が習慣化されています。
ストレートネックが話題になっているのも現代らしい話です。

このように習慣による身体の悪影響は無意識に進んでいます。
我々は、今いいちどホモサピエンスとは何か?どんな特徴を持っているのかを学ぶ必要がある時代になったのではないでしょうか。
自分たちは動物ではないと思い込んでいる脳化社会が現代です。
思考が身体よりも優位になり、AI がまさに、脳を外に出したような存在です。
スマホやPCの中のAI は身体を持たない脳そのものです。

僕は予防医学を啓蒙する立場として、今一度、習慣の危険性と、身体そして環境の重要性を訴えていきたいと思います。

よろしければサポートをお願いします。私自身ではまだまだ微力です。当たり前の選択や情報を得ることができていない方々に、予防医学の視点で、知らなかったことで損した方を少しでも減らすよう、有益な情報を発信していきます。皆様の応援を励みに、より精進して行きます。応援ありがとうございます。