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【臨床日記】炎症疾患から抜け出せない変形性関節症

変形性関節症に関する予防的な対応について、色々な海外サイト、論文をみていますが、共通しているのは、炎症性疾患として、いかに炎症を起こさないかという論調であり、リウマチの専門家が対応すべきだという意見まであります。

炎症が起こる原因に関してはダンマリという感じで、発症機序が不明なので、炎症を抑えるしかないと。
世界のレベルがこの程度ですから、困ったものです。
日本が特別遅れているわけではないということがよく分かりました。

感染症や内科疾患のように、病気とその機序が明確なものは予防できますが、運動器疾患系で特に変性疾患については、原因が不明だとなっているので、予防のしようがない状況なのです。

でも臨床的には、特に理学療法士をはじめとして、「メカニカルストレス」という概念によってその障害の機序を推測し効果を挙げている人は多いはずです。
でもその概念が定型化されておらず、足からの連鎖で考察する人もいれば、体幹から考察する人もいて、まるで統一されていません。
結局は、セラピストそれぞれの主義主張によって偏った考察が蔓延しており、まるで科学的医学とは言えないような状況です。
かたやエビデンスといえば、整形外科的な発想の対症療法ばかりで、予防にはまるで役に立たない理論ばかりです。

僕が今感じているのは、やはりモデルを提示するべきであろうと。
ヒトという身体がどのようなモデルで表現されるのかです。
つまり、感染症の場合は、宿主としてのヒトです。
内科系疾患であれば、生理学を基盤とした恒常性の破綻としてモデル化されています。
では、運動器疾患の場合はどんなモデルなのでしょう?

僕の今感じているモデルは、力学的なストレスを考慮すれば、やはり「力の分散・吸収(dispersion & absorption)」モデルだろうと思っています。
つまり、重力がある中において、地面という床があることで人は重力と反力という二つの力の中で均衡を保っていると考えられます。
歩くという行為は、位置Eを転倒モーメントに変換して、倒れて加速するというシステムです。
この時に、着時にはその加速を分散・吸収する必要があります。
走ればそれが大きくなります。

この分散・吸収モデルを考えると、障害が起こるメカニズムが、適正範囲内と範囲外という境界によって問題定義することができます。
つまり異常値を見つけることができるだろうということです。
機序をはっきりさせるには、どこまでが正常範囲で、どこ以上が異常なのかを明確にする必要があります。
障害は特にストレスが小さいので見える化が難しい分野です。
だからこそ、ストレスをやや誇張することで、異常を表面化させて抽出する必要があります。

今後は、このモデルにそった評価方法を作っていく必要があります。
概念と実働との間には、評価による見える化が不可欠です。
評価項目が数十年単位で変わっていないこの医療業界はそれこそアップデートされない異常状態と言っても過言ではないでしょう。
数十年前の医学書がいまだに教科書として使われているなどというのは、時代錯誤も甚だしい。
医学や理学療法の運動器に関しては進歩がない超保守な業界です。

AIやDXなど世の中はどんどん前に進んでいます。
進歩というのも当然いい側面と悪い側面はありますが、医学や理学療法のこの停滞は異常です。
新しいモデルと新しい評価項目をこれから作って、運動器系の概念にイノベーションを起こさなければいけません。

まだまだやることが山ほどありますが、人生を賭けるだけの価値は十分にありますね。
変形性関節症は年齢と体重、性別、遺伝という要因で決められるような疾患ではありません。
脳科学も進歩していますが、運動器はもっと人間工学的な視点で追求できるはずなのです。
というか、今のモデルが稚拙すぎるのです。
さぁセラピストの皆さん、イノベーションの道へ進んでいきましょう!

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