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失われた30年①

「失われた30年」と呼ばれる時代を生きてきました。その時代の始まりはバブル経済がはじけた1990年代の初頭ということになっています。

1990年代。音楽は大きな力を持っていました。
タワーレコードに行って「自分が共感できる音楽」を探したり、ライブハウスに行って素晴らしいバンドを発見することは僕にとって青春時代の貴重な体験でした。当時10代から20代の多感な時期にあった自分にとって、音楽は「救い」を与えてくれるかけがえのないメディアでした。。現実世界の自分の周りに救いはなくても、流れてくる音楽の中に「同時代を生きる、同世代の声」を感じることができたからです。僕は洋楽を聴いていたので、海外に生きる同世代のアーティストの感情を「作品」を通じて感じることができました。孤独な空間での「音楽視聴」ではあるけれども、それは同世代との共感、問題意識、自己主張など人格形成に大きな影響を及ぼすものだったのです。
けれど、いつからか音楽は僕の周りから遠ざかっていきました。あるいは、僕が大人になるにつれて音楽から離れていったのかもしれません。
今になって振り返れば、1990年代という時代は僕らが生きている「現代」とはずいぶん違いました。まず、スマートフォンがありませんでした。今では信じられないことですが、携帯電話、パソコンやインターネットもまだ普及していなかったのです。自分と他者との関わり方は今よりも原始的で「手触り感」のある時代でした。当時大学受験や就職活動がうまくいかず、社会から疎外感を感じていた僕にはニルヴァーナから始まったグランジムーブメントは大きな共感を感じることができるものでした。きっと「疎外感を感じているのは自分だけではない」のだと感じることができて救われたのだと思います。1990年代にニルヴァーナの音楽が大きな支持を得たことは、当時アンダーグラウンドな場所で音楽活動をしていた人たち、そうした音楽を聴いていた人たちの大きな励みになったことは間違いないと思います。
ニルヴァーナのカート・コバーンが悲劇的な自殺を遂げたのは1994年4月5日。今年は2024年。あれからもう30年の月日が経とうとしています。
 

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