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【ジャマイカ】

カリブ海の国、ジャマイカについて考えます。

ジャマイカは、アメリカ合衆国のマイアミの南方1,000km、カリブ海に浮かぶ国です。カリブ海の中では、キューバ島、イスパニオラ島に次いで3番目に大きな島です。

ジャマイカ
①首都: キングストン
②人口: 271万人

ジャマイカの国名は、先住民だったアラワク族の言葉「ザイマカ」にちなむものです。「木と水の地」あるいは「泉の地」を意味しています。

エチオピアをはじめアフリカ諸国の国旗には、ラスタカラーと呼ばれる「赤」「黄」「緑」の3色の組み合わせが多いです。「赤」は愛、「黄」は平和、「緑」は信仰を表します。

ジャマイカの国旗は、1962年の独立時に制定されました。国旗は太陽の光の「黄色」と自然の「緑色」をベースに、克服すべき困難と黒人の国を象徴する「黒色」が加えられました。

エチオピア帝国(1270〜1974)は1880年から1912年に行われた西欧諸国による「アフリカ分割」を逃れ、独立を保った数少ない王朝です。エチオピア帝国の国旗です。3色の色はラスタカラーと呼ばれています。

エチオピアは、アフリカ最古の独立国及び現存する世界最古の独立国の1つです。
人口は約1億800万人(2020年7月時点)。アフリカ大陸の中ではナイジェリアに次いで2番目に人口の多い国です。ちなみに、ナイジェリアの人口は2億96万人(2019年時点)です。

ジャマイカは日本の四国の半分ほどの広さで、細長い島の東側中央をブルーマウンテン山脈が走っています。コーヒー豆のブランド「ブルーマウンテン」は有名ですね。

ジャマイカは熱帯海洋性気候で四季の差はなく、平均気温は27度の常夏の島です。主要な輸出品は、コーヒー、ボーキサイト、さとうきび、ラム酒、レゲエ。人口の90%以上はアフリカ系黒人です。

現在のジャマイカの歴史は、1494年にコロンブスが漂着したことから始まります。スペイン人は、原住民のアラワク族を金鉱探しなどに奴隷のように従事させて絶滅させてしまいました。コロンブスが漂着した地は「ディスカバーリー・ベイ」、スペインがイギリスとの戦いに破れて敗走した地は「ランナウェイ・ベイ」と名付けられて、今も地名に残っています。

ジャマイカは、17世紀半ばにイギリスに武力で占領され1962年の独立までイギリスの植民地支配下に置かれました。イギリスはアフリカから連行してきた黒人奴隷たちを使ってさとうきび産業などで巨大な利益を獲得しました。ジャマイカは、アフリカを出た奴隷船の最初の寄港地だったため、奴隷商人は反抗的な奴隷をここに陸揚げし、従順な奴隷たちをアメリカ大陸に運んで高値で売りさばいたのです。
ちなみに、運ばれたアメリカ大陸最大の奴隷市場はニューオリンズでした。ここからミシシッピ川の水運を利用して大規模農場の労働力として各地に運ばれて行ったのです。

ジャマイカには従順でない黒人奴隷が残り、奴隷反乱が多発しました。その中心地のひとつにセント・アン教区という地区があります。
この地区で、黒人解放運動の始祖マーカス・ガーベイ(1887〜1940)が生まれ、また世界にラスタのメッセージを広めたボブ・マーリー(1945〜81)が生まれました。

マーカス・ガーベイ(1887〜1940)について説明します。彼はヨーロッパの植民地政策からのアフリカ解放を主張し、アフリカ回帰運動の最も重要な提案者として知られています。北米地域において黒人の権利を主張した先駆者であり、後のネーション・オブ・イスラムやラスタファリアニズムといった宗教・思想運動に影響を与えただけでなく、遥か後のキング牧師が主導した公民権運動にも影響を与えました。

ラスタファリアニズム(ラスタファリ運動)について説明します。

ラスタファリアニズムは、1930年代にジャマイカの労働者階級と農民を中心にして発生した宗教的思想運動のことです。基本的には、アフリカ回帰運動の要素を持ち、エチオピア帝国最後の皇帝ハイレ・セラシエ1世をジャー(ヤーウェ)の化身、もしくはそれ自身だと解釈するものです。
ラスタファリ運動には、抑圧されたジャマイカ市民による抵抗運動としてのメシア主義と、現実逃避的な千年王国思想の両面が垣間見られるとされます。

ラスタファリアニズム(ラスタ)は、アフリカ回帰主義(アフリカ中心主義)を奨励しました。
ラスタの生活様式は下記の通りです。
①菜食主義
※動物性食品を避ける食生活を行うこと。
②ドレッドロックス
※絡まり合ってロープのような束形状になった髪型のこと。
③ガンジャ(大麻)
※大麻の吸引のこと。大麻の吸引は神聖なものとされていました。

「ラスタ」について考えながら気がついたことがあります。僕は「かつて西欧諸国に植民地にされた地域の歴史を知らない」、もしくは「西欧諸国と対立関係にある地域の歴史を知らない」ということです。思いつく地域は下記の通りです。
①アフリカ大陸
②中・南アメリカ大陸
③アラブ諸国
④中央アジア
⑤東南アジア
僕自身が不勉強なのですが、学校教育の中であまり説明がされていなかったように思います。
主に、アメリカを含む西欧諸国の歴史、中国史、日本史が強調されていたからです。「学ぶことを期待される」分野を限って、教えられていたのだなと思い至りました。このことは、自分にとって「新たな発見」でした。

ラスタ思想の核心は、エチオピア帝国の最後の皇帝ハイレ・セラシエ(1892〜1975)を黒人の神としていることです。

ハイレ・セラシエはエチオピア帝国の最後の皇帝です。1930年11月に即位しました。
ジャマイカのイギリスからの独立は1962年です。セラシエは、独立後間もない1966年にジャマイカを訪れています。ここでセラシエは、「ジャマイカ社会を解放するまではエチオピアへの移住を控えるように」という私信をラスタ指導者に送っています。

ラスタ思想は、黒人の神ハイレ・セラシエが、白人に支配される「バビロン」の地から黒人を「エクソダス(脱出)」させ、黒人解放の約束の地「ザイオン」であるエチオピアに帰還させるという考え方です。

「バビロン」という言葉は、旧約聖書の「神の律法に背いて崩壊した古代バビロニア王国の古都バビロン」が語源です。黒人を支配する権力や権威としての国家、都市、社会体制、警察などのシステムを総称する言葉として使われています。

ラスタ思想の源流はアムハラ語(エチオピアの公用語)で書かれたピビィ聖書(黒人聖書)にあると言われています。
それは、まるでユダヤ人にとってのユダヤ教のように「黒人のための聖書」になっています。
天地創造からハルマゲドン、その後に来る黒人の運命について、困難だが栄光に包まれた運命が描かれています。

西欧諸国により行われた「アフリカ分割」(1880〜1912)で独立を守ることができたのは、エチオピア帝国、リベリア共和国の2つの国だけでした。

ラスタ思想はユダヤ人の「シオニズム」に似ていますね。
「シオニズム」
・イスラエルの地(パレスチナ)に故郷を再建しよう、あるいはユダヤ教、イスラエル文化の復興運動(ルネサンス)を興そうとするユダヤ人の近代的な運動のことです。

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