アフターセブン放浪記 第9回「神宮球場で気楽に楽しむプロ野球」

プロ野球。
日本人にとって一番人気のプロスポーツで、シーズン中の毎年4月~10月はひいき球団の勝ち負けに一喜一憂している方も多いと思われます。

かくいう私は千葉ロッテマリーンズのファンですが、このチームの応援は12球団の中でも特に熱狂的と言われています。
私にとっての野球観戦というものは、外野席で応援歌を歌ったりジャンプ・コールをして声援を送るというものという認識です。
ゆっくりと席に座ってビールを飲みながら声援を送る…という一般的な野球観戦のイメージとは程遠く、少なくともマリーンズの攻撃中はまったく休む暇などありません。

もちろんそういった観戦が大好きなので球場に足を運んでいるのですが、たまにはゆっくりと野球を見たくなる日もあります。
しかし、マリーンズが関わる試合だとどうしても応援の血が騒いでしまいます。

ということで、今日はここ明治神宮球場に
東京ヤクルトスワローズvs東北楽天ゴールデンイーグルスの試合を見に来ました。(6月20日開催)

この日はもともと6月2日実施予定だった試合が、雨で中止となり振替になったものです。
プロ野球の試合は実はすべて同じ値段ではなく、日ごとにチケット代が違うようになっています。
土日開催や人気チーム、強いチームの試合は多くのお客さんが入りますが、雨で振替開催となった平日の試合は通常なかなかお客さんが入らないものです。
加えてこの試合は違うリーグ同士の交流戦ですが、どちらのチームも6月現在は下位に低迷しています。

さて、スワローズ主催試合では「ちょこっと応援チケット」と呼ばれるものが販売されています。
これは先述のようにお客さんが少ないと見込まれる平日夜に販売されるもので、20時以降の入場となりますが500円~1000円で野球観戦を楽しむことができます。
通常のチケット代が安い席でも3000~4000円程度することを考えると、これは破格の値段と言っても過言ではありません。

しかし、なぜこんな破格の値段で売っているのでしょうか。

私が考える理由の1つは、20時以降だからこそ見込めるお客さんがいるからです。
神宮球場は渋谷や新宿から電車込みで20分もあれば着いてしまうため、仕事終わりのサラリーマンを見込んでいるかと思われます。
1000円程度でしたら立ち飲み屋やスポーツバーに入るのとトータル金額は変わらないので、足を運びやすいはずです。

そしてもう1つの大きな理由として、空席を作らせるくらいならお客さんを入れた方がいい、という考え方に基づいているのかと私は考えています。

アメリカのメジャーリーグの経営者のマーケティング理論で「空席はホットドッグを食べない」というものがあります。
何もしなければ誰も座らない観客席ですが、安い値段でもいいから座ってもらえたら球場でビールを買ったりフードを買ったりしてお金を落としてくれる可能性があります。
何も買わなかったとしてもその試合で好きになってくれる選手ができてくれれば将来的にお金が動くかもしれませんし、本当に何も興味がなかったとしてもスポンサーの看板くらいは見てくれる可能性があります。

つまり、席を埋めてくれることによってお金が動く可能性を少しでも作ろうとしているのです。一方お客さん側も安い値段で気楽に野球観戦を楽しむことができるのでた、両者にとってメリットがあるということです。

昨今はプロ野球も試合以外の付加価値を見出して、お客さんに何回も足を運んでもらおうという考え方が主流になっています。

そもそもプロ野球チームは5割勝てれば上出来と言われており、優勝するチームでも6割勝てれば相当調子のいいチームです。
裏を返せばどんなに強いチームでも40%の可能性で負け試合を見てしまう可能性があるということなので、
試合の結果以外にもスタジアムDJが盛り上げて選手たちを演出したり、マスコットたちがイニング間のイベントを盛り上げたりと様々な付加価値を作っています。

今のプロ野球は、現地観戦でしか得ることのできない楽しみや満足感がたくさんあるのは間違いありません。

さて、前置きがだいぶ長くなりましたが売店の食べ物をゆっくりと選んでからようやく7回の表に席につくことができました。
この日はたまたまスワローズが大量リードを奪っており、7回の時点で13-0という大差がついていました。
(私も色々な試合を見ていますが、人生で見た中で最も大差がついていた試合だと思います…。)

イーグルスファンが多い3塁側に座りましたが、周りももはや半分ヤケクソで応援しているような一周回って生暖かい雰囲気でしたので
安心してゆっくりとスタジアムフードを楽しむことができました。

今日のメインは「村上宗隆の三冠王カレー」です。
神宮球場のカレーと言えば孤独のグルメにも登場した「ウインナーカレー」が有名ですが、それは外野席の名物品。
今回は内野席の「スタジアムカレー」で、2022年に三冠王(首位打者・本塁打王・打点王の打撃三冠のタイトルを総なめすることです)を獲得した村上選手の豪快さをモチーフにした具沢山のボリューム満点なカレーです。
神宮球場名物の「じんから」も乗っていますし、カレールーもマンゴーソースのフルーティーさがスパイスと絡み合い、非常に香り高い満足度の高い一皿でした。

観戦のお供には「山田哲人ハイボール」をいただきました。
メロンソーダとハイボールが合わさった飲みやすいサワーで、つい何杯も飲みたくなるお味です。
山田選手は最近色々と大変そうなので頑張ってほしいという応援の意味も込めて頼みました。

また、デザートには「つば九郎の抹茶パフェ」をいただいました。
スワローズのマスコットキャラ・つば九郎のカステラ焼きが乗った、濃厚な抹茶ソースと生クリームが相性抜群のパフェです。
スタジアムフードのデザート類の中ではなかなかレベルが高く、甘党の自分には大満足のお味でした。

今回はスワローズのプロデュース商品で固めてみましたが、それ以外にも多彩なフードがあるのは神宮球場の大きな強みだと思います。
メニューを眺めているだけでファンじゃなくても楽しくなるのは球場グルメの楽しみの一つでしょう。

さて、肝心の試合の方はというと…特に大きな見どころもなく、食べ終わったころにはそのまま13-0で試合終了となっていまいました。

私は普段はマリーンズの試合しか見ることはないのですが、その場合はマリーンズの勝利が見たいという大きな価値観が付随しています。それゆえにどうしても嫌な緊張感に襲われたり、虚無感やフレストレーションがたまることはどうしてもあります。
しかしたまにはこの日のように、勝ち負けを気に気にすることもなく
しびれる展開やプロ野球選手が魅せる華麗なプレイを、スタジアムフードを楽しみながら観戦するのも楽しいものだと思いました。

ちなみにこれは偶然ですが、この日の勝利投手はかつてマリーンズに所属していた山本大貴選手でした。
マリーンズファンがまずいないであろうこの試合の日に、元マリーンズの選手の記念すべきプロ入り初勝利を飾った瞬間を見守れたのは何かの縁だと思いました。

ということで滞在時間は1時間半程度でしたが、マリーンズと全く縁がない試合ながら大きな満足感を得て帰宅することができました。

しかしやはり自分は根っからのマリーンズファンなので
マリーンズのユニフォームを着て外野席で大きい声で声援を送って、得点が入ったらハイタッチして最後に勝利のバンザイをする…。
もう身体に染みついていることもあり、そのルーティンが一番合っているな…と改めて思った1日でした。

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