KPI管理者がハマりやすい3つの落とし穴
「KPI設計のポイント」というエントリが好評だったので補足的に書いてみた。
■KPI設計でやりがちなミス
①KPIの間違ったタテ読み
例えばマーケティング・セールスのパイプラインが以下のようになっているとする。
①イベント開催 (マーケティング部門)
②コール (インサイドセールス部門)
③訪問・契約 (フィールドセールス部門)
④フォロー (カスタマーサクセス)
フィールドセールス部門がアポ数からの契約転換率をKPIとして追っている場合、PLや事業計画を月次や週次で縦に見ているとこうなる。
3月はアポ200社に対して契約10社、4月はアポ100社に対して10社なので転換率は5%から10%に改善しているように見える。
ただ、実際アポから訪問して契約をクロージングするまでには時間がかかる。この会社ではそのリードタイムが平均1ヶ月だったとするとデータの読み方が変わってくる。
2月のイベント集客が3月のインサイドセールスにつながり、3月のインサイドセールスが4月の契約につながる。
PLや実績管理表をナナメに読むイメージだ。
考えてみれば単純な話だが、フェーズごとに組織が分かれていたり、短期の数字を追っている物販ビジネスなどは見落とされることも多い。サブスクリプションビジネスなどでよく使う「コホート分析」で回避できるので、興味がある人は調べてみて欲しい。
②KPIが多すぎる
KPIは「Key Performance Indicator」で「Key」は「重要」という意味。
多すぎるKPIはマネジメントサイドが「何が重要かわかっていない」ということであり、そんな状況で「KPI改善」といっても現場がオーバーフローして死んでしまう。
また、KPIツリーが複雑になるとそれぞれの重みやアクションの費用対効果の判断がわかりづらくなるという課題もある。
KPIマネジメントが始まって移行も、それがより洗練されたものになるよう継続的にブラッシュアップしていきたい。
③データ集めに手間がかかりすぎる
WEB解析のKPIなど、設定すれば勝手に溜まっていくものならよいが、例えば営業の「ドアノック数」や、イベント集客の「着座率」などデジタル化されていないデータ集めは手間がかかる。
手間に見合った効果が得られる見込みがないのであれば取らない方がよい。
逆にデータ化されているものはKPI化しやすいので、手元にあるデータを眺めながら欲しい情報をデザインし、足りない必要最低限を追加コストで補うのがよい。
まとめ
デジタル技術やツールが進歩し、様々なデータを気軽に集計・分析できるようになった。
一方で、経営改善の手段にすぎない「分析」や「KPI管理」自体が目的化してしまい、事業のパフォーマンスを落とすといった本末転倒な事態も見受けられる。
管理の精度を上げることによって打ち手が見えやすくなるメリットもあるが、管理コストも比例して増えていく。
マネージャーは、最低限の管理コストで最大のリターンが得られるよう、「マネジメント業務のROI」を意識するべきだ。
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