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39課メモ「原因理由の て」「ので」「から」『みんなの日本語』

「ので」「から」問題と『みんなの日本語』の続きのようなメモになります。

・旅行に行けなくて、残念です。(練習B)

のような、原因・理由の「て」について『「から」「ので」「て」:日本語の原因・理由を表す表現について』(山下好孝)で山下氏は「て」の後件には感情表現がくるとしています。(かなり乱暴なまとめですみません。原文を参照ください)

・家族に会えなくて、さびしいです。(練習A)・ニュースを聞いてびっくりしました。(文型)・メールを読んで、安心しました。(練習A)

など、39課に出てくる文とも合致します。加えて山下氏は「風邪をひいて、学校を休みました」も「やむを得ず休む」という感情を表すとしています。

ここからは、私見ですが、この「やむを得ず」というのがポイントではないかと思っています。よくも悪くも「抵抗できない不可避でしょうがない」結果になった時、「て」で接続するのではないかと。

・地震でビルが倒れました。(文型) ・胃の病気で入院した。(練習C)

など、「事故、事件、出来事、災害などが原因で、ある事態に至ったことを表す場合」という「教え方の手引き」の説明も納得できます。私はこの中の「出来事」というのが納得いかなかったんですが、

(1)事故で電車が遅れて、時間に間に合いませんでした。すみません。

というのは、「間に合わなかったことは抵抗できないことだった」ということ表しているのではないでしょうか。

(2)事故で電車が遅れたので、時間に間に合いませんでした。すみません。

だったらどうでしょう。「ので」は「個人的な理由」と以前述べました。つまり、「ので」を使うと「私が判断して乗ったあの電車が遅れてしまった」という含みになります。だから、謝られた人は「いやいや、(あなたのせいではないよ)大変だったね~」という会話の流れになるのだと思います。また、

(3)事故で電車が遅れたから、時間に間に合いませんでした。すみません。

だと、遅れたのは悪かったけど、原因をはっきり示してしまう「から」は原因が自分ではないことを暗に主張してしまうのだと思います。でも、友達に「空港まで彼女を追いかけたけど、事故で電車が遅れたから、間に合わなかったんだ」と話すときは問題ありません。

私が実際に教えるときに、自分からこんな風に並べて違いを説明することはまずありません。わけて練習するから質問されることもあまりありません。でも、自分は納得しておきたいので自分のための覚書です。

最後に、すみません。ずるいのですが冒頭にあげた山下氏は「手紙を読んで安心した」というのは本来は二つの動作、事態の景気であり、原因・理由に読めるのは副次的なものにすぎないと言われています。しかし、ここでは「て」が文法的にどうなのかを考えているのではなく「原因・理由の て」を教える場合について考察しているので、副次的とはいえ「原因・理由の て」として扱っています。

自分が納得出来たら、さて、本題は学生のための授業の組み立てです。

それはまた、別の機会に。