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書けなかったライターが「読み手を理解する」ために実践したこととは? ~「文章はつかみで9割決まる」おまけ原稿 #3~

こんにちは、ライターの杉山直隆です。

なぜ駆け出しライターの私は、つかみや文章を書けなかったのか?

その原因は、「読み手を理解していない」こと。

そこで、読み手を理解するためにあれこれ試行錯誤し始めた、という話を以下で書きました。

今回は、読み手を理解するためにしていたその他のことをご紹介します。というか、今も実践しています。

以下を読むと、ものすごく努力している感じに見えるかもしれませんが、本人は努力しているつもりはありません。苦痛なことをしても続かないので、できるだけ自分が興味を持てること、楽しそうなことをするようにしています。

読み手を理解する方法はいくらでもありますから、自分が苦にならない方法を見つけることが大切でしょう。よかったら参考にしてみてください。

もともとは『文章はつかみで9割決まる』に載せようとしていた原稿なので、一緒に読むと、より参考になるかと思います。

ツイッターで、読み手に近い人をフォローしまくる

 読み手の気持ちを理解するために、最も手軽にできるのが、「ツイッターで、読み手に近い人をフォローしまくる」ことです。
 ポイントは、価値観が似通った人だけでなく、さまざまな人もフォローすること。タイムラインを眺めていると、「ああ、こういうふうに考えているんだなぁ」「そういう価値観で物事を見ているのか。自分とは違うな」ということがわかり、参考になります。
 自分があまり詳しくないジャンルの記事を執筆するときは、そのジャンルの人をまとめてフォローします。今回の本を書く上でも、さまざまなタイプのライターさんをフォローして、勉強していました。

 ヤフートピックスやNewsPicksのコメント欄も、自分が手がけている記事のジャンルに関しては見るようにしています。鵜呑みにはしませんが、「こんな考え方もあるんだな」と参考にしています。

「苦労話」や「グチ」にこそヒントがある

 読み手と似た人に話を聞くチャンスがあれば、積極的に話を聞きます。

 読み手が引きつけられるつかみのヒントになりやすいのは、苦労話やグチです。苦労話やグチには悩みや本音が詰まっていますし、同じ属性の人は同じようなことで悩んでいるケースが多いからです。

 もちろん、苦労話やグチを話したがらない人もいるので、根掘り葉掘り聞くようなことはしません(過去に失敗した経験あり…)。
 雑談をするなかで、苦労が見えるような話が出てきたら、その人が話したいことをイメージして、それについて聞くだけです。

 たとえば、長距離トラックの運転手さんから、「アーティストの楽器をライブ会場に運んでいる」という話が出てきたとしましょう。
 繊細な楽器を何百キロ先まで運ぶのは見えない苦労がありそうです。そんなことをたずねてみれば、
「楽器ならではの輸送の苦労がある。それは…」
「それよりも問題なのは現地での待機時間が長いこと。その間は仕事ができないので、稼働時間が減る」
「腰痛は職業病」
などといった話が出てくるでしょう。
 こうした話に耳を傾けていれば、「稼働時間を増やしたいが、簡単には増やせない」「一人なので簡単に仕事を断れない。ネットワークを組むことが重要だが、良い運転手は忙しいのでジレンマがある」などトラック運転手という仕事の難しさが見えてきます。
 さらに考えてみると、これは、トラック運転手だけでなく、個人事業主や中小企業にも同じようなことが言えそうです。

 こうした苦労談やグチなどに耳を傾けていると、読み手の気持ちの理解が深まってきて、つかみにつながるヒントが得られるわけです。

自分が読み手の当事者になる

 理想的なのは、自分が読み手の当事者になることです。

 たとえば、私は資格取得に関する記事を書く機会がちょこちょこあるのですが、キャリアコンサルタントや簿記3級、秘書検定などの資格を取得したことで、取材先の話の理解度が上がり、つかみが思い浮かびやすくなったと感じています。
 また、商品やサービスを自分で試すようにもしています。

 当事者になるにはお金や時間が必要なので、何でもかんでもできるわけではありませんが、可能な限りおこなうように努めています。

同質性の低いコミュニティに身を置く

 これはちょっと労力がいりますが、「同質性の低いコミュニティに身を置く」ようにもしています。自分とはまったく違う人生を送っている人がいる場に行き、話をすると、「こんな価値観もあるんだな」ということに気づけます。

 私の場合は、30歳を超えてから始めた空手の場や、40代になってから入った地方の問題解決コミュニティがそれに当たります。どちらも、読み手の気持ちを知るために入ったわけではありませんが、今までの人生で会ったことのない人と多数出会うことができ、読み手の気持ちを知るための参考になっています。

365日、起きている時間はすべて「取材」

 このようなことをしているうちに、起きている時間はすべて「読み手を理解するための取材」と思えるようになりました。

 テレビを見ていても、喫茶店にいても、ショッピングモールにいても、得られるものはたくさんあります。

「そんなのずっと仕事をしているようで嫌だ」と感じる人もいると思いますので、万人におすすめはしませんが、私にとっては「何を聞いても糧になる」のは楽しいことでした。嫌なことがあっても、「これもなにかのネタになるだろう」と思えると、ストレスも減りました。



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