教える者の喜び

6/13 午後から副業のオンライン家庭教師。相手は看護学校の受験予定の30代女性(以降、「Aさん」と呼ぶ。)である。看護学校の受験科目である英語と数学(数I・A)を週1回1~2時間教えている。

Aさんは英語を苦手としている(し、嫌いらしい)。教え始めた頃は英語に対する拒否反応がひどく、過去問の長文を一緒に読もうとしたら「まとまった文章は読めません!」と言われてしまった。実際過去問の会話文を読んだとき、中学校レベルの文章も理解できていなかった。

さて困った。どうやって教えたらよいものか。そこで私は、自分が実践し、娘たちに勧めた学習法を導入することにした。それは、

「英文をひたすら覚える」

である。とにかく理屈よりも覚えて(受験)英語の感覚を身につけてもらおうと思ったのである。具体的には毎回テーマ(たとえば、受動態、関係詞、比較など)を決めて10の英文のそれらの日本語訳を覚えてもらった。英文は「新・基本英文700選」(鈴木長十、伊藤和夫、駿台文庫)と「総合英語Forest」(石黒和博監修、桐原書店)から選んでいる。当初はとにかく覚えてもらおうと思ったが、Aさんは自分で理解できないと不安なようで逐一辞書を引きながら自分なりに和訳し、私が送った訳と違うところは毎回毎回授業中に質問してくれた。徐々に英文の読み方が身についてきた。

そんな感じでこれまでやってきた成果を試す形で、英検3級の過去問の一部を一緒に読み進めることにした。目標としている学校のレベルにはまだ遠いが、まずはまとまった英文を読めるようになるだけでも良しとしよう。そんな思いで選んだ。

最初は心配していたが、読み進めると知らない熟語や構文で止まることはあったものの、ほとんど文章の意味をつかめていた。これには私だけではなくAさん自身が驚いていた。曰く「こんなに英文をスラスラ読めるなんて思ってもみなかった」と。どうやら一生懸命英文を覚えたことは無駄ではなかったようだ。

全体が3段落の文章だったが1時間では2段落しか訳せなかったのでそこで終了。次回の授業の日程と内容について打ち合わせた後にAさんが、「この英文読んでいて<面白かった>ので残りは自分で訳すから先生後で見てください」と言ってくれた。

どうやら「わかる」ことで「面白い」と思ってくれたようだ。教える者にとって何よりも嬉しい言葉だった。何とかAさんに合格してもらいたいと心から思った。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?