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雨の日のカフェと窓際席

カフェで働き始めて1年半が過ぎた

大学時代、アルバイトをするならカフェはないだろうな。つまらなそうだから。と選択肢にも入っていなかったことを思い出すと、カフェで働いていることがとても不思議。

同じような日々でも、自分の心もちと、その時に来てくれるお客さんによって毎日違う気持ちにさせてもらえるので、案外カフェの仕事は面白いなと思います。


お客さんとは深く話せるわけではないけれど、小さな会話の中や、お客さんの様子からいろんな物語が見えてきたりします。(勝手に想像しているとも言えますが)


今日はあいにくの雨。
雨は嫌いでした。最寄りまで行くバスは遅れるし、物忘れが激しくて毎回傘をどこかに置いて行ってしまうから。でも、最近になって段々と雨が好きになっている感じがします。雨の日のカフェは特に好きです。家にいるよりもカフェの仕事に入る方が好きだと思います。
雨の日に窓際に座るお客さんが、窓の外をじっーと眺めるのを少し遠いキッチンから眺めるのが雨の日のお気に入りの時間。

今日の窓側のお客さんは、窓の外と広げたノートとの睨めっこの行き来を何時間も。じっーと外を眺めては、ノートを少し書いて、また視線は窓の外。

その真剣で、ちょっと険しい表情になんだかほっこり。今朝は気分があまり優れず身体がおもかったからか、勝手ながら、私もがんばろうと思えました。

そうやって、お客さんに励まされることがよくあります。元気がない時に、お客さんとの何気ない会話に、コロッと気分が晴れやかになったり。自分の考え事でいっぱいになっていた時に、お客さんのことを考えることで、悩みが消えて行ったり、お客さんが本を静かに読んでいるのをみて、なんだか心が落ち着いたり。

15時以降。ランチプレートから、コーヒーとデザートを頼むお客さんが増える時間帯。5卓しかない店内。
今日はどの席のお客さんもおひとり様。
ノートと睨めっこの窓際席さん。
憲法の本を横にパソコンで作業をするお客さん。
賄いを食べながら保育試験の勉強をするスタッフ。
カフェのデザインをした建築家さんのファンだというお客さんは、コーヒーを飲みながら店内に置いてある建築家さんの雑誌を読んでる。
私はキッチンでカツの仕込み。最近お気に入りの少し静かめの音楽をBGMに、一人ひとりが静かに自分の時間を過ごしている。
いろんなお客さんとお話しできる日も嬉しいけれど、話さずともなんだか同じ時間を過ごしている感覚になれるこの時間も嬉しい。

昨日の店内は、今日とは反対に賑やかだった。
私の友人が何人か来店してくれて、もう1人のスタッフの友人も来店していたからかもしれない。来店人数も多く、カウンターも埋まったのでお客さんとの会話も多かった。

お店の雰囲気が昨日と今日とでは全然違う。
このお店は、良くも悪くも客層が毎日バラバラ。
それが面白くもあり、難しくもあります。
何が影響しているのか。天気のせいか、私の心持ちのせいか、店内全体が見える大きな窓のせいか。そんなことを改めて考えてみました。

窓は大きいかもしれない。賑やかな雰囲気が見えれば、静かに勉強や読書、作業をしたい人は来店しないだろうし、全席おひとり様で静かに読書などをしているのをみたら、そういう時間を過ごしたいという人が来店するのかもしれない。そう思うと、このカフェの大きな窓は、毎日のお店の雰囲気を大きく決めている、大役を担っているのかもしれません。

いろんな客層がくるこのお店は、いろんなものに影響されながら日々を生きている。特に窓に?それが何だか面白いなと思った今日でした。

雨の日はどんな人が窓際に座るかなと想像する。
我が儘を言えば、おひとり様のお客さんがいいなと、心の中で思いながら。

そして今日の雨の日に、私もお客さんになりたい気分になりました。気になっていたカフェ、雨の音と静かな音楽を聴きながら、おひとり様しかいないカフェで私もこのnoteを書き終えようとしています。良い雨の日でした。また少し、雨の日が好きになりました。
傘を忘れないように帰ります。
と思ったけど、今日は止みそうにないから大丈夫そうです。

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