若い頃には戻りたくない

年齢を重ねた人が「若い頃に戻りたい」ということを聞きます。
私は戻りたくはありません。

起業した40歳代前半に戻りたいかと問われると、絶対に嫌です。
あてもなく起業したのは無謀だったと思っています。
幸運がいくつかあったからこそ、続けてこれました。
そんな幸運が、再びやってくることはありません。
あの頃に戻って再度やり直したならば、確実に失敗しているでしょう。
戻りたくはありません。

人生で一番厳しい頃は小中学生の頃ではないかと思っています。
両親に守られてはいるのですが、自分でお金を稼いではいないので、自由度は低いですね。学校は危険な場所です。

人格が形成されていない子供達の中で、ひとたびいじめの標的になったらもう逃げられないのです。
社会人なら会社を辞めるなどで避難できますが、子供は逃げるすべを知らないのです。嫌々、学校に行くか不登校になるしかないのです。

私は小中学校時代、嫌なやつがいて目をつけられそうになったことがありましたが、なんとか切り抜けられました。
もちろん楽しいこともありましが、その頃には戻りたくありません。

高校は受験でふるいにかけられて、周囲には迷惑をかけるような人間はおらず平和でした。でも、受験勉強はやはり厳しかったですね。浪人せずに志望校に入れましたが、あの頃には戻りたくはありません。

大学時代は楽しかったのですが、まだ何者にもなっていない頃です。
今から思うと、これからどうやって人生を作り上げていくのか不安に思います。戻りたいとは思いません。

大学卒業後は社会人となり、会社人間として組織の中でもがき続けます。
新米社会人の頃は、右往左往しながら仕事を覚えていきます。ある程度の年齢になると責任がついてきます。
民間企業はお金を稼がなくてはなりません。
明確なノルマのようなものがなくても、実際には稼がなくてはいけないのです。
それが延々と続きます。
会社員生活の終わりを想像し、とても長い道のりにため息をついていたように思います。

稼ぐ以外にも、会社員は会社内の人間関係に苦しみだします。嫌な頃でした。決して戻りたくはありません。

会社を辞めて起業し20年以上が過ぎ、2人の子供が独立します。

そうして鏡を見ると、そこには白髪の老人がいました。
体力、気力も低下していて、そして見栄えも「おじいちゃん」なのです。

しかし、そうなっていても若い頃には決して戻りたくはありません。

現在が今までで一番良いと思っています。


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