ビジネス提案の挫折(会社員時代)

20代前半に途上国で2年間生活しました。

その後ITの会社に就職した際に、人件費の安い途上国でソフトウェア開発を
してはどうだろうかと常々思っていました。
まだ「オフショー開発」という言葉が無かった頃です。

会社での勤務に限界を感じ始めていた頃、この現状から逃れるために、途上国での開発を提案してみようと思い立ちました。

社員3000人の規模の会社で社長までの距離感は果てしないものがありましたが、ある時、意を決してこの提案を文章にして社長に直接送ってみました。
心臓がクバクでした。

すると翌日、返信が来たのです。
「B部長がその考えを持っているので相談してみてください。連絡しておきます」
心臓がまたもバクバクになりました。

B部長とは面識はありませんでしたが、変人のうわさは聞いていました。
部長とは言っても部下のいない部でなにをやっているのかはわかりませんでした。

社長からの直々の連絡なので、さっそくB部長にコンタクトを取りました。
「一度、昼食をとろう」とういことになり、あまり社内の人間が来ない場所でということでB部長から指定された場所は、職場からは少し離れたところでした。

自分が2年間途上国に滞在したこと、この提案のことを熱く語ったのですが反応は特に無く、気難しい顔をして聞いていました。最後に

「くれぐれも他の者にこの話はしないように。具体化するまでにおおやけになったら、つぶされるからな」

と暗い顔で睨まれました。

その数日後、私の所属先のA部長から呼びだしを受けました。
私の提案が社長から送られてきたとのことでした。
A部長からは「君はアイデアマンだね」と嫌味を言われました。自分の頭越しに社長へ提案したことをこころよく思ってはいないようでした。

B部長の言う「具体化するまえにおおやけ」になってしまったことになります。

途上国でのソフトウェア開発の意気込みはしぼみ、B部長からの連絡もなく、こちらからもせず、ますます、この会社での勤務に限界を感じてきました。

今から考えると、私のやり方が稚拙だったと思います。
本当にやりたいのならば、このくらいの障害は乗り越えなければなりませんでした。でも、以前からこの会社に愛着が無かったこともあり、自分のビジネス提案を突き進める気力は簡単に失せてしまいました。

「やめるしかないかな」と退職へと心が傾きはじめました。

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