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今の日本の映画市場って実際どうなの?

各地の名画座が次々と閉館し、かつてあったようなミニシアターブームのような勢いは今の日本にはない…。

実際のところ日本の映画市場は下降傾向にあるのだろうか。
映画を生業とする人だけでなく、映画を趣味とする人にとっても市場がどういう状況にあるかを知ることは大切なことだと思っている。

2016年、日本を含む複数地域で興行市場は過去最高となっていた。

参照サイト:
日本、北米、中国の3地域、2016年映画興行市場いずれも過去最高に

8月に公開された新海誠監督の劇場アニメ『君の名は。』が12月末までの段階で213億円を超え、2015年12月公開の『スター・ウォーズ フォースの覚醒』が110億円、16年7月公開の『シン・ゴジラ』が80億円をそれぞれ超えている。

2016年はまさに邦画の当たり年。洋画に関しても大作シリーズものが興行を牽引していた。興行成績だけでなく、『シン・ゴジラ』などはキャラクタービジネスとしても大いに盛り上がったのではないかと思われる。

(ギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA』以来のゴジラ新作。オリジナルのテイストを踏襲した日本製作ということもあり、ファンからの期待も高かった。)

しかし、興行市場が良好な反面で、映画ファンの間では映画館数の減少が嘆かれている現状があるように思える。映画館数と興行市場が比例しないのは何故だろうか。

結論から言うと、「映画館数」が減少を続けており、その代わりに「スクリーン数」が増え続けているからだ。

減少しているのは名画座やミニシアターといった劇場が主で、複数スクリーンと大作上映をメインとした大手シネコンは現在も増え続けているのだ。そのおかげでスクリーン数は増え続ける。

大きなスクリーンと最高の音響設備で映画鑑賞できるというのはそれこそ映画の醍醐味だが、小規模でも魅力的な作品を上映し続ける他シアターがそれらに追い込まれているという事実は何とも歯がゆい。

参照サイト:
60年余りの間の映画館数の変化をグラフ化してみる(2017年)(最新)

そして、これらシネコン一人勝ちの状況の要因だと思われるのが「洋画ファンの減少」である。昨年の興行成績を見れば明らかだが、固定ファンの多い大作シリーズを除くと洋画の勢いは邦画には到底追いつかない現状。そのため市場が活性化する一方で、公開作品の系統は一辺倒になっているようにも思える。

周知されたキャストで売り上げ見込みの立ちやすい邦画は、シネコンの「目玉商品」。それはこれからも変わらないだろう。

日本の映画市場はこれからも好調に伸び続けると思われる。ただ、洋画勢が伸び悩む今の日本市場を明るいものと考えられるかと言うと、私は決してそうではないと思う。

名画座やミニシアターの衰退は、日本へ配給される作品数のさらなる減少を招いてしまう。世界には数え切れないほどの作品があるのに、出会う機会すらなくなってしまう。なんと悲しいことだろうか。さてどうしたものか…。

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