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『シンドラーのリスト』と『夜と霧』

映画『シンドラーのリスト』と名著『夜と霧』。

その存在は知っていたけれど、触れることがなかった作品たち。
ようやく合わせて観ることができた。

『シンドラーのリスト』は、第二次世界大戦中、ホロコーストが進むドイツで、莫大な富をもつオスカー・シンドラーが”軍事工場の労働力”という名目でユダヤ人を雇うことにより約1,100人を迫害から救った話。

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(スティーヴン・スピルバーグの傑作『シンドラーのリスト』)


『夜と霧』は、ドイツの心理学者ヴィクトール・フランクルが、自身が収容所に囚われていた時のことを心理学的なアプローチで詳らかにしていく話。

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(世界的ベストセラー『夜と霧』原著)


戦争関連の書籍・映画は決して「面白いから」なんていう気持ちで触れているわけではなくて、いつも「好奇心」がきっかけになってる。

なぜ戦争が起きたのか、なぜホロコーストが起きたのか、なぜ平気で人を殺せたのか、なぜ誰も止められなかったのか。そういうことを考えることは戦争経験者が亡くなっていく中で絶対に必要なことだと思ってるから。


話は変わるが、昨日、某リアリティー番組の出演者が、SNSによる誹謗中傷によって亡くなったというニュースがあった。あの番組は見ていなかったけれど、事の顛末だけ見ていても、本当に悲しくなった。

事故や病気ではない、誰かの悪意によって巻き起こったという事実。誹謗中傷をした人たちは、ニュースを見ても、決して自分たちがその死に加担しているとは思わないのだろう。本当に世の中残酷でいやになる。

今から半世紀以上前と、世の中の悪いところは何も変わっていない。

『シンドラーのリスト』や『夜と霧』で描かれたように、第二次世界大戦中、にわかには信じがたい大虐殺が行われた。多くの学者が研究したけれど、何故あんなことが起きたのかは分かっていないらしい。結局そこに誰かの明確な意志なんて存在せず、集団の中で「個人」として自分自身の行動に責任を負わなくても済むシステムが、小さな悪意を無意識のうちに積み上げて得たいのしれないものにしてしまったのだと思う。迫害を実行した兵士たちにも「殺意」なんてなかったのかもしれない。

今回の事件で誹謗中傷した人たちも「殺意はなかった」と言うのだろう。
惨い。ホロコーストが起きたあの時代と何も変わってない。


昔のことだから関係ないと多くの人が蔑ろにしていた悲劇的な出来事のほんの一片が現代に再現されたようで、本当に悲しくなって少し泣いてしまった。








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