山田詠美と、銀色夏生と大沢誉志幸
『そして僕は、途方にくれる』という映画がある。
この映画の題名を見た時、あれ、もしかしたら?と胸がざわついた。
中学、高校時代に大好きだった あの曲。
中学生の分際で、大沢誉志幸が好きすぎて、イベントに出かけ生歌に感動したあの曲である。
アイドルが大好きな友人に「どこがいいの?」と言われても、
「好きなんだもん」としか言えなかった。
キラキラしたアイドルより、大沢誉志幸のざらっとした独特の声と容姿が大好きだった。
そして、映画用の最新バージョン。
その作詞を手掛けたのが、銀色夏生。
当時、売れっ子詩人として詩集が売れまくっていた。かくいう私も、銀色夏生の詩集を買っては読み、大沢誉志幸の曲を聴き、ブラックミュージックに傾倒していった。
同じ頃、好んで読んでいた雑誌に連載されていたのが
『放課後の音符(キイノート)』だった。
「オリーブ」に、山田詠美の短編が連載されていて、これが読みたいがために雑誌を買っていた。
明るくキラキラした表面的な青春じゃなく、
本当の恋愛を覗き見しているような
そんな気持ちで読んでいた記憶がある。
自分が高校生だった頃、山田詠美を好んで読む子はあまりいなかったように思う。
林真理子か、山田詠美か、と問われたら、
大抵は、林真理子だった時代。
林真理子の小説も面白かったけれど、私は山田詠美が好きだった。
後で知ったが、この人は漫画家でもあったらしく、エロ漫画というのがまた尊敬に値する。
その後、村山由佳や、辻仁成、江國香織、谷村志穂など、たくさんの恋愛小説を読んできたけれど、私の原点は、この人なんだと思う。
最近になり、山田詠美氏のインタビューを目にすることがあった。
やっぱり、この人好きだわ。
『A2Z』に触れた内容のインタビューだったと思うが、大人になった今でも、
山田詠美の恋愛観に共感できる自分がいた。
今放送されている「恋愛ドラマ」の大御所対決。
北川悦吏子と、大石静。
私は、大石作品の方が好きだ。
「明るく楽しく」より「人間の影や憂い」を描くものに、
私は惹きつけられる。
これもまた、同じような感覚なのかもしれない。
マジョリティーじゃなくてもいい。
多数派じゃなくても、自分の「好き」を信じ続けること。
30年経って再開した曲が、気づかせてくれた。
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