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求めていたのは「声ニュケーション」~意識低い系ライターのクラブハウス雑記~


クラブハウス。おぉ、Clubhouse。登場から数日で日本中を席巻してしまい、未だ驚くべきスピードで広がっている。インフルエンサーや芸能人、実業家からアナウンサーやパーソナリティ、声優といった声のプロまで、業種も年齢もさまざま。こぞって集まって(アンドロイドユーザーを置いてけぼりにして)昼夜を問わず盛り上がっている。

盛り上がっている、との言葉通り、私は英語チョットだけかじり人間のひきこもりライター(元子役)。「英語が聴き放題」というおすすめを得て、クラブハウスを始めた。

ビビリなので、かけ湯を慎重に繰り返しながら参加している。ツイッターだいすき!

人類は「声ニュケーション」に飢えていた

始めてみればやっぱり、とてもたのしい。最近一番いる場所が布団の上というダメ人間にはクラクラするような、意識もポテンシャルも高い皆さんのキラキラした会話が恐ろしいときもある。そんな場合は早々に逃げ出せるので助かる……。
しかし同時に、クラブハウスで仲良くなった方と話すのがとてもたのしいのである。親しみを感じるペースが段違いなことに驚いた。
かつて飲みニュケーションという言葉があったが、クラブハウスが提供しているものは「声ニュケーション」

今難しいコミュニケーションを、新時代型として抽出したものなのだろう。

例えば、一昨年まで、舞台役者は飲み会で仕事を取ることがあるあるだった。しかし2021年現在、密な飲み会を開催する役者も演出家もプロデューサーも、バレた時点で業界に確実に居づらくなる。

しかし文章だけではコミュニケーションは心もとない。ビジネスメールはめんどい、ラインの返信がおっくうという人も多いだろう。

それに「オンライン飲み」も、実は割と面倒くさい。
ZOOMはじわじわと音声ラグが起きるし、画質もまちまちだし、URL作らなきゃいけないし、たまに追い出される。
何より最低でも上着は変えて寝癖は整えねばならない。メイクしないとさすがに参加できないという人も多いだろう。
ラインやメッセンジャーの通話も複数でやるのはちょっと大変だし、出入りは気軽にできない……

そういったデメリットを見事にカバーした新たな楽しみ方を、倦んでいた日本人の前にミョイーンとぶら下げてきたのがクラブハウスなのである。そりゃ殺到する。


クラブハウスが愛されモテアプリとなった11の理由

1. 気軽
2. 招待制なのである程度信頼性が担保できる
3. アイコンが出るので音声だけで誰が喋っているか聞き分ける必要はない
4. 機能がシンプルなため、音声ラグが少ない
5. 出入りも楽ちん
6. スピーカー参加もかんたん
7. 「モデレーター」が悪質な人を追い出せる仕組みが存在する
8. バックグラウンド再生ができる
9. クローズドな部屋も作れる
10. 世界が広がる
11. フォローも気楽

ざっくりメリットはこんな感じだと思う。モデレーターとしてプロの方々がドコドコ参加しているので、もうCMと音楽のない、互換性のあるラジオ番組状態である。

リンク作成もいらず、ワンタップでアプリが起動できる。基本的にはアイフォンのマイクで十分聞こえるので、マイク付きイヤホンをつけていて手に絡みつくこともない。

天才だ~と思ったのが「Leave Quietly」というボタン。これさえ押せばルームから静かに存在が消え、退出できる。クラブハウスの開発者に絶対陰のスピリットを持つエンジニアとかいたと思う。「落ちます」の一言、あれがメチャクチャ言いにくいのだ。

正直、英語で書かれたアプリの時点で日本人にはハードルが高かろうと思っていた。実際私を招待してくださった方も「全然英語読めない!!」と仰っていたし、ルームで英語の部分を読んでと頼まれることもある。しかし、日本人の飢えはそれどころじゃなかったらしい。

マニュアルが音声化されていないところが大きかった。英語を読むスキルは受験である程度やりこむし、グーグル翻訳でもDeepLにでも突っ込めば大意はつかめる。これがYou Tubeでリズミカルなアメリカ英語で説明されていたら挫折していたに違いない。

ツイッターやインスタグラムと違って、フォローしても文章や写真が流れてくるわけではないので気軽にフォローボタンがタップできるのも魅力である。


ただ、私達は多分まだ何も知らない。パブリックだと意識し、秩序ある利用に留められれば良いものの、今後政治利用が広がったり、思想的な色がどんどん濃くなったりしたとき、ストッパーはあるのか。

犯罪の温床にはならないのか。一応U18は参加できないが、未成年に魔の手は忍び寄らないか。個人情報は担保でもあるが、どれくらいのセキュリティで守られているのか。クローズドなルームで話した「ひみつ」の話は果たしてデータとして蓄積されていないのか?
などなどザクッと考えるだけでも不安(リスク)もないわけじゃない。

だから、パブリックな一種のラジオであり、ワールドワイドウェブであると考えて利用したほうが安全だし、カバディの試合みたいに距離を慎重に測るべきなのだ。

おしゃべり練習アプリでもあると思う

私はMCや『幸福路のチー』の吹き替えなどやらせてもらっているので、声の仕事の経験はある。しかして周りにプロが多すぎるため、実は苦手意識が強い。

なので、練習の意味でも使っている。だって、慣れてくれた人なら良いが、声しか聞けないアプリで、いきなり思考が飛んだ、声の高い早口な女に遭遇してしまったらどうする。夜道に聞いている人にとったらだいぶ恐怖であろう。

最近モデレーターやスピーカーとしてもちょいちょいお邪魔しているので、かけ湯、塩(ダチョウ倶楽部か?)を片手に変わらずそろそろと進んでいきたい。
個人的には歌舞伎の話がたくさんしたいなあと思っている。みんな松嶋屋!って叫びたいでしょ……?

ド素人のイメージするクラブハウスの今後

今後
・検索のしづらさ
・興味あるトピックのルームの見つけにくさ(ハッシュタグ検索が欲しい)
・視聴人数制限
・退会できない(という噂)(実際は英文で申請メールを送る必要がある)
・電話番号を同期すると登録してあった連絡先にドバーン広がる

などが改善され、日本語版のリリースが進めば更に利用者は増えていくだろう。

若干の怖さもあるが、プロからの貴重な意見も聞けるのでとてもありがたい。例えばエンジニアさんに「音のクオリティ」について聞いたり、出版社の人々がどういう風に企画を立てるのか、などを聞いたりできる。
英語や中国語もまさに「生きた会話」を「リアルタイム」で聞ける!語学学習者にはおすすめしたいアプリだ。

今後どういう風に展開するのかはまるでわからない。マーケター?アナリスト?そういうプロに任せたい。ただ英語のルーム眺めているとイーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグなどが参戦してきているので、ある種台風の目になっているのかなと思う。


クラブハウスは「さみしがりやたちの伝説」になるのか?

私の場合、やっぱりバリバリなのはつかれる。今後もまった~~り、声優さんとや歌舞伎役者さんと喋っちゃった!キャーッ!くらいでいたい……。ただこれも「オタクが金を払わずに接触していいのか」と思ってしまうので良し悪し……でもたのしい……嬉しい……。

人は寂しがりの生き物である。
東日本震災のとき、ツイッターやラインが生命線としてたくさんの人の心を支えた。ちょうど10年後の今、新たな「支え」が登場したのかもしれない。


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