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猫と暮らしてほしい家

建てたときは8ニャンと
人間3人だったこの家は
今は人間ひとりと猫ふたりになった。
なんかこう書くと寂し気な感じだけど
至って平穏な毎日を過ごしている。
猫も人間も少ないので、
使っていない部屋も
もちろん、ある。

ほぼ衝動買いのように建てた家だけど
私の考える限り
猫たちは幸せだったように思う。
今、一緒にいるたまちゃんとくららも
ストレスのない毎日を過ごせていて
おまけに幸せだと信じている。

うちは8ニャン全員
兄弟でもなくそれぞれ性別も年齢も違い
当然性格も違い
仲良し、ではなかった。
喧嘩はしょっちゅう見ていたが
猫団子なんて一度も見たことがない。

ソファーは爪とぎでボロボロ。
何個買い替えただろう。
ご機嫌が悪いと必ずお布団に粗相。
これも何枚買い替えたことか。
血を見るほどの喧嘩は無かったものの
争う姿を見ると胸が痛くなった。
全員平等に、毎日可愛がるのも
大変だった。

多頭飼いなんて、するんじゃなかった、
逆にストレスをかけて
しまってるかもしれない。
1ニャンだろうが5ニャンだろうが
一緒一緒、なんて
人間の勝手な考えだったかも
しれない。
正直、そんなことを考えたり、
疲れた、と思ったことも
たくさん、あったし
何度も病院へも行ったし
一緒に暮らすことで、
費用もとても必要だった。
辛いことだって、いっぱいあった。
今でも辛くてたまらない思い出も
たくさん、ある。

私は今、56歳。
今、一緒に暮らすたまちゃんと
くららちゃんが
猫生を全うしたら
そこで猫と一緒に暮らすことは
終わりにする。

ちょっと、いや、だいぶ寂しいけど
自分の年齢を考えると
それが正しい選択だと
考えている。

一緒には住めなくても
自分が元気なら
猫さんのために
ボランティア活動だって
できるのだもの。

長い間、たくさんの猫と
一緒に暮らしてきた。
「仲良しではない」猫たちのために
仲良くはならなくても
どうしたらストレスなく、
ゆったりと毎日を
過ごしてもらえるか
そのことばかり考えていた。

それぞれがそれぞれの
お気に入りの場所を
見つけて、落ち着いた環境を。
広く清潔なたくさんのトイレを設置し
ストレスにならないように。
いつでも新鮮な水が飲めるように。
ちょこちょこ食べる猫たちのために
色々な場所にご飯を置いてやり
誰にも邪魔されず
食べることができるように。
日当たりが良く窓が多く気持ちよく。
人間にとっては殺風景だが
植物や飾りを置かず
万が一、留守の間に大きい地震があっても
絶対に猫たちがケガをしないよう
家の中にモノを増やさず、整えて。
毎日、掃除を欠かさない。

私は本当に猫が大好きだから
「猫のため」の、この家を建てたことを
当然、後悔していない。

いつか「にんげんひとり」になったら
この家は、売るつもり。

誰かが猫と一緒に
楽しく幸せに暮らしてくれたら
いいなあ、と思っている。

おわり。






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