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娘、壊れてしまいました③の②

今まで良く頑張った
あんたは何も悪くない
辞めてくれて安心した
何も謝らなくていい
もう泣かなくていい

もっと早く辞めさせるべきだった
無理やりにでも
私のところへ帰した方が良かった

真っ白な顔
細い手足
小さな手
震えている肩を
思い切り抱きしめて
頭を撫でてやる

4月に入社して夏くらいには
通勤電車の中で涙が出て
止まらなくなってしまうと
言っていた

危ない
私はそう思っていた

上司に相談しなさい
休みなさい

心療内科に行くことは
恥ずかしいことでも
なんでもないのだから
行ってきなさい

無理をしちゃいけない
休みなさい
壊れてしまうよ

辞めてしまいなさい

何度も何度もそう伝えても
返ってくる返事は
「もう少し頑張ってみる」

仕事の手が追いつかないのは
自分のせい
自分が悪い
自分が一番悪いのだと
いつもいつも自分を責めていた

4月に入社したばかりで
何もかも上手にできるわけがないでしょう
まだ1年生なんだよ
頑張りすぎたらダメだよ

実家を離れて一人で暮らす娘に
どうしてあげたらいいのか
わからなかった

どうしたら娘の心が軽くなるのか
こういうとき何をしてあげたらいいのか
わからなかった

死んでしまうのではないだろうか
電車に飛び込んでしまうのではないだろうか
消えてしまうのではないだろうか

そんなことばかり
考えていた