自然がアートかアートが自然か
2022.3.21自然がアートかアートが自然か
それは、生き物だった。
一つ目の妖怪のような。
竹藪の手前に、聳えるように立っていた。
すでに朽ちてはいるが、なお、生きているような存在感。
木の麓に、小さな祠。
その気持ちが、わかる気がした。
只者ではない雰囲気。
これは、神様なのではないか。
岡本太郎の絵画を思い出さずにはいられない。
アートは自然の模倣か。
木を見ると、特に思うのだ。
自然が生み出した、なんとも美しくも奇妙な造形美。
こないだも登山の途中、竜の頭のような美しい形の木が落ちていた。
トメさんはそれに惚れて、家に連れ帰った。
木。
森の中にあると同化してしまうのに、
それを都会に持ってくるとどうだろう。
たとえば、大きなオブジェに。
すると途端にそれは、アート作品となる。
都会になぜ、アートが映えるのか。
たとえ都会ではなくとも、
ドライフラワーのように、なぜ家の中に飾るのか。
アートが自然の模倣であるとするならば、
アート作品を求める私たちの根底には、
自然を求める私たちがいるのではないだろうか。
自分のそばに、自然を置いておきたい。
自然の、そばにいたいんだ。
そして結局人間はないものねだり。
その大きな神様の中を覗くと、中は空洞になり竹が生え、天に向かって伸び始めていた。
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