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息子のハプニングがあったから現地の人と深く関われた。出会いに恵まれたハワイ旅行

息子には軽度の知的障害と、自閉スペクトラム症(ASD)に近い特性があります。旅行は楽しいものではあるけれど、息子にとっては、慣れない環境や初めてのことがストレスにもなります。

どこにも行かずに過ごしている方が、波風立たなくていいのかもしれない。それでも私は、息子をいろいろな場所に連れて行って、さまざまな経験をさせてあげたい。

しかし、ちょっとしたきっかけで固まって動かなくなったり、機嫌を損ねたりして手に負えなくなることも。

親だけでどうにもならないときに、ほんの少し手を差し伸べてもらうことで、息子も私たちも楽になることがあります。ありがたいことに今年の家族旅行では、人との出会いに恵まれました。

5年ぶり4回目のハワイ。初めて現地ガイドさんに送迎やチャーターツアーをお願いしてみた

8月17日からの1週間、家族でハワイのオアフ島に行ってきました。

ハワイでの挙式、新婚旅行を経験したのをきっかけに、ハワイが大好きになった私たち夫婦。前回ハワイを訪れたのが2019年8月なので、ちょうど5年ぶりです。本当は、2020年に行くつもりでホテルや飛行機も予約していたのですが、コロナ禍で断念。再訪のタイミングをずっとうかがっていました。

今回初めて、空港と宿泊先間の送迎とチャーターツアーを、現地在住12年の日本人ガイド、りょうちゃんにお願いしました。ハワイのことをいろいろ調べていた夫が、おすすめに上がってきたりょうちゃんのサイトを見つけたのです。

YouTubeでは、若干テンション高めなしゃべりですが、実際にお会いしたりょうちゃんは、話し方や声のトーンが上川隆也さんに似ていて、穏やかで優しい雰囲気。一緒にいて「波長が合うな〜」と感じました。

そして、普段、初対面の人に対して、モジモジして何も話さない息子が、りょうちゃんにはすごい勢いで話しかけていてびっくり!きっと、りょうちゃんの接し方が、息子にとって心地よかったのだと思います。

息子の会話の相手をするのは、なかなかしんどいときもあります。突然、2年前のことをつい最近のことのように話し出したり、同じことを何度も話したり、脈略がない会話になることもあるからです。

しかし、途中で言葉をさえぎることもなく、優しく相づちを打ちながら話を聞いてくれていました。

また、息子は、自分の親との関係性もよく観察しています。りょうちゃんと私たちが和やかに話しているのを見て、「この人は大丈夫だ」と思ったのでしょう。

「りょうちゃん、りょうちゃん」と口を開けば話しかけていて、親そっちのけで、りょうちゃんにくっついて歩いていました。

りょうちゃんと息子

オアフ島北部のハレイワまで足を伸ばしたときのことです。お目当ての店が長蛇の列。待っている間に息子の顔がどんどん曇っていきます。「これはマズいな」と思ったとき、りょうちゃんが息子と一緒に待っていてくれることに。

私たちもゆっくり買い物できたし、息子は、親抜きでりょうちゃんと過ごせた時間がとても楽しかった様子。ツアーガイドだけでなく子守りまでしてもらって、本当にありがたかったです。

サンドバーツアーで肝っ玉かあちゃんに出会う

今回の旅行で楽しみにしていたのが、サンドバー(天国の海)シュノーケリングクルーズです。

しかし、息子のことを考えると心配でもありました。何もかもが初めての体験。船に乗る時点で少し怖がっていたので、途中で嫌だと言い出すのではないかと不安でした。

ボートで10分ほど行くと、エメラルドグリーンの海が見えてきます。大人の膝上丈くらいの浅瀬が続いていて、水深が深いところと浅瀬とで海の色が違うのが目で見てわかります。

手前が浅瀬、奥の濃い青が深いところ

前半は、浮き輪やSUP(スタンドアップパドル)で遊ぶ時間だったのですが、案の定、不安が的中。息子は怖がって、船から降りようとしません。困っていたところへ声をかけてくれたのが、日本語要員として乗り込んでいたジェイミーでした。

ジェイミーは船に乗るときから、流暢な日本語で面白おかしく話しかけては、息子の緊張を解いてくれていました。

「ジェイミーと一緒に行こう」と声をかけられた息子は、さっきまでの頑なな態度が嘘のように、船を降りて行きました。

ジェイミーと一緒に

「ママ、〇〇(息子の名前)がSUPで遊ぶって言ってるよ!」ジェイミーがSUPを用意してくれ、夫も私も初体験でしたが、どうにか3人で乗り込むことに成功!漕がなくても、風に押されてぐいぐい前へ進む、進む!息子も喜んでいました。

そして後半のシュノーケーリングタイム。浅瀬のところから出発して、深いエリアに出て、半円を描くように浅いところに戻ってくるコースです。

シュノーケリングが人生2回目の私でさえ、ちょっと不安になったのだから、息子が怖がるのも当然です。

小さい子ども用に、海の中を覗けるZayak(底面が透明になっているボディボード)が用意されていますが、それも断固拒否!

仕方なく、夫が息子と一緒に船に残ろうとしていたときに、再び、救世主ジェイミーが登場!「ジェイミーと一緒なら行ける?」と声をかけると、息子は「行く!」と即答でした。

「こういうときは、親よりも他の人の言うことの方を聞くんだよね」

17歳を筆頭に3人の子どものママでもあるジェイミーの言葉に、気持ちがフッと軽くなりました。そこからちょっとママ同士のトーク。ハワイの人と育児について話すことになるとは想像もしていませんでした。

息子はジェイミーにお任せして、シュノーケリング開始。浅瀬から深いエリアに進むと、眼下には珊瑚礁が広がり、その間を優雅に色とりどりの魚が泳いでいます。

最初は感動していたけれど、後半は泳ぐのに疲れて全然進まない。足がつかない恐怖と、うまく口呼吸できない息苦しさも出てきて、パニック寸前でした。

一方のジェイミーは、泳げない大人2人と子ども4人を、ライフジャケットもつけず、笑顔で引っ張って泳いでいました。かっこよくて、たくましい!参加者全員、誰も置き去りにせず、全力で楽しませようという心意気が伝わってきます。息子も超ご機嫌でよかった。

気づけば、息子に負けず劣らず、私もすっかりジェイミーを好きになっていました。またジェイミーに会いたいな。

***

もし、夫婦だけの旅だったら、何のハプニングもなかったら、ただの観光客とガイドだけの関わりで終わったかもしれない。息子がいたから、より深く関われたのだと思います。

人とのつながりが感じられたおかげで、今回のハワイ旅は、これまでになく特別なものになりました。


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