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温泉熱を活用したイチゴの通年栽培(弟子屈町)

 北海道釧路総合振興局です。

 今回は、2023年8月に鈴木知事が訪問した株式会社オリエンタルランド弟子屈農園について紹介します。


再生可能エネルギーの有効活用

 弟子屈町の屈斜路湖畔にある弟子屈農園は、首都圏で日本有数のテーマパークなどを運営する株式会社オリエンタルランドが、自社テーマパークの飲食店などに提供するイチゴを生産するために2016年(平成28年)に設立し、現在では5棟のハウスでイチゴを栽培しています。

 この農園では、温泉熱を利用することで年間を通してイチゴを生産しており、国産イチゴの流通量が少ない夏や秋でもテーマパークに安定的に供給することが可能となっています。

弟子屈町産のイチゴ「摩周ルビー」を栽培するハウス

 自社農園を弟子屈町に設立するに至った理由としては、地元からの熱心な誘致に加え、夏場の冷涼な気候と昼夜の寒暖差、日照時間の長さがイチゴ栽培に適していること、そして温泉熱を利用して通年栽培が可能となる点が大きく影響しているそうです。

 イチゴを栽培するハウスでは、屈斜路湖畔で地下40メートルの深さから汲み上げられた温泉を温室の空調だけでなく、2次利用として苗を温めるために、3次利用としてハウス屋外の融雪用として、無駄なくエネルギーを活用しています。

イチゴのブランド化

 弟子屈町では1980年代から役場庁舎をはじめ複数の公共施設で温泉熱を利用した暖房を利用していましたが、近年は環境に配慮したエネルギーに関心が集まる中で、民間企業でも温泉熱を利用した取組が増えつつあります。

 そうした中で弟子屈町は、弟子屈農園がイチゴの生産を始めてから3年が経過した2019年(令和元年)に町内産の一定の要件を満たしたイチゴを「摩周ルビー」というブランドと認定することにしました。

 「摩周ルビー」の認定要件には通年出荷が可能であることや再生可能エネルギーを利用して栽培されていることなどが定められており、温泉熱を利用して栽培されている弟子屈農園のイチゴもこのブランドに認定されています。

ハウスで栽培されているイチゴ

地域を代表する特産品となった「摩周ルビー」

 設立当初は苦労も多かったという弟子屈農園の運営ですが、現在では年間30トン以上を生産し、自社テーマパークだけではなく、町内のレストランや加工用にもイチゴを出荷しています。

 最近では町内で販売される「摩周ルビー」を使ったお菓子の販売も好調で、ブランドも徐々に浸透し、弟子屈町の新たな特産物となりつつあります。

 同社のフード開発調達部マネージャーの市川晃久さんは「弟子屈町の皆さまをはじめとしていろいろな方のお力添えがあってここまで来られた」と話します。

 地域と連携しながら、地域の特長を活かし、地域を活性化する。過疎化が進む道東地域において、オリエンタルランド弟子屈農園と弟子屈町の取組はこうした点で地域創生のモデルケースとなるのではないでしょうか。


 北海道では、鈴木知事が地域の創意工夫ある取組を直接お聞きし、道の施策に反映するとともに、広く発信していく「なおみちカフェ」を実施しています。
 今回ご紹介した弟子屈町でのなおみちカフェの様子は、以下のリンクからご覧いただけます。

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