見出し画像

イノベーションとリーダーシップ-1

...................................................
(非営利組織の経営p10)
万事がうまくいかなくなるきっかけは、失敗した時ではなく、成功しているときである。
失敗したときには、誰もが働かなければならないことを承知している。
ところが、成功しているときには、自己陶酔がやってくる。手持ちの資源が無駄遣いされる。
...................................................

地域の主婦だった人たちが
1年に1店舗ずつ開店させて3店舗まで展開できた。
スタッフも順調に増えて、お客様の反応もとてもよかったし収益もぐんぐんあがっていきました。
今までが鳴かず飛ばずだっただけに、やっと「成功」の手ごたえを感じられるようになった頃です。

当時、自分では自己陶酔しているつもりはなかったのですが今から考えるとあれは自己陶酔以外の何物でもなかったように思います。

失敗した時は、何が失敗したのかをふりかえって反省できるものですが
成功しているときは、有頂天になり、何が成功の要因だったのか分析の機会を見逃します。

スタッフの活躍により、私が指示をしなくてもNPOの運営は順調でした。
順調なだけに、私はリーダーとして次に何を行ったらよいのかわからなくなってしまったのです。

...................................................
(非営利組織の経営p10)
非営利組織のリーダーたるものは成長することを知らなければならない。
もちろん、適宜調整することもできなければならない。
やがて成長も止まるからである。
だが、組織としての勢い、柔軟性、活力、ビジョンを失ってはならない。
さもなければ、組織は硬直化する。
...................................................


今、思うと1年に1店舗開店することは、成長ではなかったのかもしれないなと思います。
確かに見た目として店舗数を増やすことは成長に見えるかもしれません。

それは量としての成長であって、質としての成長は目減りしていたように思います。
1つのしくみをつくったものを、他地域にコピペしていくことが本当に成長といえるのか? いまだに答えはわかりません。

最も恐ろしいことは
成功しているときに原点回帰をしなくなることです。
原点回帰して、理念に戻り、次のビジョンを描くことを忘れるのです。
リーダーが次のビジョンを描かないと、組織は海図のない海を漂い始めます。

そして、組織が硬直化するという現象が現れました。硬直化している組織の特徴は、コミュニケーションがうまくいかなくなる点です。活発なコミュケーションが行われないため、新たな価値を生み出す企画を作り出したり、新たな協力体制を築いたりすることを恐れるようになります。

未来の設計図であるビジョンがあるから、組織は勢いづきます。
ビジョンがあるから、理想のビジョンのために現実をよりよく変化させていこうという活力が生まれます。ビジョンがないのに、変化しようという気持ちにならないのが人間です。


リーダー自身が原点回帰して組織の理念は何なのか、なんのために私たちはこの組織を運営しているのかをもう一度定義しなおす必要があります。
そして次に、スタッフに理念の共有、ビジョンの共有をする必要がありました。

「組織は硬直化する」とドラッカー先生は書かれていますが、本当は「リーダーの頭が硬直化する」のだと私は思います。


...................................................
(非営利組織の経営p11)

非営利組織に収支は関係ない。
自分たちの行うことは大義のためのものであって、すべて正しいとする。
そのためか、成果が上がらなくとも資源を他のものに振り向けようとはいえない。
したがって、非営利組織は、企業よりも意識して体系的な破棄を行う必要がある。
困難な選択を行う必要がある。
...................................................


ドラッカー先生は優れた仕事をし続けるためにイノベーションをしなさい、とすすめます。
イノベーションとは、改革するという意味ではなく、今やっていること、
成功している事業のやり方を「ドサッ」と捨てなさい。と言います。

なんてこというんだ!
クレージーな発言ですよね。

イノベーションは簡単に実現しません。
関係者の多くが反対するし批判が集中するに決まっています。
一番いいときなのに、なぜこの方法をやめなきゃいけないんだ。と必ず言われます。
リーダーなら誰もが経験していることです。

しかし、諸行無常。ニーズはあっという間に去る。これはNPOだって一緒。
ピークになったらあとは下りが待っています。
こうした放物線を描くのはビジネスの世界では常識だけれど、NPOの世界も同じことが言えます。

以前私は、NPOはイノベーターとしての役割をもつと述べましたが
成功の「カタ」と「ルート」を見つけ、事業が安定したら、次はまた新しいチャレンジをしなければ
本来のNPOの使命を果たしているとは言えません。

新しいチャレンジは「変化」です。
当時の私は「安定」をやっとの思いで手に入れたのに、変化の波なんて起こしたくない。という気持ちになりました。
頭が硬直化していた証拠です(笑)

成長曲線がいずれ頂点を迎えたら、次は下り坂です。
下り坂になる前に新しい変化を起こす準備をしておけば
その変化がまた次の波の頂点を作ってくれます。
この波の頂点を次々とつくっていれば、衰退はありません。

イノベーション


NPOが継続して成長するために
また、危機を回避するためだけでなく、備えるためにイノベーションは大切なリーダーの仕事なのです。

-----

ちょっとお知らせ

ドラッカーコミュニティカレッジイベント02

【オンライン】ドラッカーコミュニティカレッジ:新しい時代をサバイバルする経営者・起業家の会 #02  http://ptix.at/jROoF1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?