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鬼平犯科帳を。

上田の東宝シネマで「鬼平犯科帳・血闘」を観た。
若いときから池波正太郎さんの時代小説が好きで、
文庫本で全巻揃えた鬼平犯科帳は、今でもときどき
読み返している。江戸の町に起こる事件を通じて、
火付け盗賊改め方の長官、鬼平こと長谷川平蔵や、
わきを固める部下や密偵や家族に盗賊の心情が
描かれている。
テレビでも長らく放送されていて、これまで平蔵を、
松本白鷗に丹波哲郎に萬屋錦之介に中村吉右衛門
が演じてきた。文庫本を読み始めた頃、すでに
フジテレビで吉右衛門の鬼平が放送されていて、
毎週楽しみにしていた。
平蔵役の吉右衛門もさることながら、奥方役の
多岐川裕美や、密偵役の江戸家猫八に、綿引勝彦に
三浦浩一に蟹江敬三に梶芽衣子に、同心役の
高橋悦史に勝野洋に尾美としのりなど、
皆がはまり役で好い味を出していた。
放送が終了したあとしばらくしたら、スカパーの
時代劇専門チャンネルで放送すると知り、契約して
再度楽しんでいた。
池波さんの作品には、
たびたびいろんな料理を食したり酒を酌む場面が
出てくる。鬼平犯科帳も同様で、ドラマの中で
吉右衛門の平蔵が、飲み屋のおやじや夜鷹を相手に、
気さくに話しかけながら杯を干すさまは、なんとも
粋でかっこよい。
観るたびに、こんな酔客になりたいと思うのに、
いつもだらしなく酩酊している有り様だった。
三年前に吉右衛門さんがお亡くなりになった
ときは、
お会いしたこともないのに、悲しい気持ちになって
しまった。
現在、毎週月曜日にBSフジで再放送をしているから、
晩酌をしながら飽きずに観ている。
このたびの映画では、平蔵役を、甥の松本幸四郎が
演じて、同心や密偵を演じる役者も、火野正平以外は
名前の知らない若いかたがたばかりだった。
長谷川平蔵といえば吉右衛門。
すっかり気持ちに根付いていたから、幸四郎の平蔵は
どんなかな。興味を持って足を運んだのだった。
この度の作品は、
原作の短編を、いくつかつなぎ合わせて作られていた。
話のつなぎ方や、幸四郎の目さばきや台詞まわしに
いささか気になった点があったものの、なかなか
面白い作品だった。吉右衛門のように、幸四郎の
鬼平が定着していくのかな。興味のわくことだった。

見廻りの合間にちょいと冷酒かな。





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