オランダの学校教育の特徴⑥<ホームスクーリングは原則禁止>
前回の記事で、オランダの小学校では日本よりも柔軟に「転校措置」をとってくれるということを書きました。
オランダの学校教育の特徴⑤<転校が認められる>
https://note.com/naom_27/n/nb85fb6c492ad
つまりこれは、子どもたちが毎日過ごす「学校」という場所が、
「自分に合っていない」
「安心できる場所ではない」
と、本人や周囲の大人によって判断された場合、学校を変えることができる。ということです。
これだけ子どもたちが「安心して学ぶ」ということに柔軟な対応をするオランダですが、一方でホームスクーリングは認められていません。
ホームスクーリングとは、学校に属することなく、家庭で学習を行うスタイルの学び方で、世界各国ではこの"ホームスクーリング"を選択する家庭が年々増えてきているようです。
ちなみに、アメリカ国務省のサイトを訪れてみると、ホームスクーリングを行うための情報がたくさんあり、ホームスクーリングが幅広く認められていることがわかります。
また、お隣の国イギリスでもホームスクーリングは合法です。
Homeschooling and Online Education (U.S. department of state)
https://www.state.gov/family-liaison-office/education-and-youth/homeschooling-and-online-education/
しかし、オランダでは原則ホームスクーリングは認められていません。
子どもたちは特別な理由がない限り、学校へ通うことが義務付けられています。
オランダでホームスクーリングが禁止であることは、一体何を意味するのか?
「教育の自由」を認めるのであれば、子どもたちが「家庭で学習する」という選択肢を持つこともまた「教育の自由」ではないか。という議論になりそうです。
これは私の意見ですが、オランダは学校を
「子どもたち一人ひとりが安心して過ごせる場所」
だと、定義づけている気がします。
これは、私が学校視察をした多くの学校の教師たちも、よく口にしていた言葉でした。
「学校は全ての子どもたちにとって安心できる場所でなくてはいけない」
まったくその通りだと思います。
家庭の教育方針に合わせて、諸外国がホームスクーリングを選ぶのは自由かもしれません。
しかし、学校が始めから子ども一人ひとりのニーズに合っていれば、ホームスクーリングを選ぶ必要もないかもしれません。
そういった意味でオランダは、
「子どもたちが一人ひとり安心して過ごせる場所」
を維持しようとしているような気がするのです。
しかしながら、それは近年、このオランダでも危ぶまれている。という声も聞こえてきます。
高所得者家庭だけが、学校外でも子どもにとって良い教育を選ぶことができ、そうではない家庭が「学校だけ」の教育になってしまう。
その教育格差が経済格差へと繋がっていく...
オランダでもそういった流れが見えはじめている。とも言われています。
「もっと上を」
教育は上を目指すとキリがありません。
しかし、大多数がそれをし始めてしまうと、競争倍率が上がります。
そして、競争倍率の高い社会の中では、勝ち組と負け組というような構図が生まれ、そこで生まれた格差はまた次の世代へと連鎖しがちです。
教育は競争ではなく、全ての人たちが平和に安心して暮らすためにある。
そういった考えがオランダに残り続けて欲しいと思っています。
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