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「消費行動」に忙しい日本?

こんにちは!先週の火曜日に帰国してから数日経ち、やっと時差ぼけが解消されそうな1週間を過ごしてきました。日本では晴天続きだったのですが、この季節のオランダはやはり日本ほど天候も良くありません…泣

日の出も9時近く、夕方は17時頃に暗くなります。「太陽が恋しい!」と叫んでも意味はなく…当然ながらこの国ではこの国なりの暮らしに慣れるしかありません。

さて、日本で約3週間過ごして感じたのは、人々の消費行動の強さでした。年末年始ということもあってバーゲン祭り!…というのは理解できますが、それにしても「売れ売れ!」「買え買え!」の勢いが凄すぎて目眩がしました。


国内にお金を落とすことに忙しい?

とにかく、到着初日から消費行動を強烈に掻き立てられるような気がしたのですが、周囲を見渡すとどうやら「買い物」をするのに忙しそうな方々が多いように感じました。

他にもそういった消費行動を掻き立てられるような要素が街中に溢れています。

・電車やバスなど公共交通機関の車内が広告だらけ
・お店でも「あれ買え」「これ安い」のアナウンスが多い
・店内のポップが多すぎる、カラフルすぎる
・支払いの時の選択肢が多すぎる(ポイントの取り合い)

これはもう「買わない」という行為に抵抗することのほうが難しいのではないかと思うくらいでした。

SNS上でも「買ったモノ」の投稿が多くて、みんな「買うこと」に忙しいんだなという印象を受けます。

日本人のパスポート保有率が減少傾向

「こんなに日本国内でお金使いまくってたら、正直、海外旅行に行くお金なんて残っていない人も多いのでは…?」

と思い、日本のパスポート保有率を調べてみると。やっぱり、日本人のパスポート保有率は順調に減少しているようです。単純に考えて5人に1人、2割の人しかパスポートを持っていないということになります。

わざわざ海外へ出るために約¥20,000もかけて10年しか使えないパスポートを申請するなんて、多くの人にとっては「もったいないお金」だったりするのだろうなと思います。

日本人のパスポート保有率、19.1%に大幅下落(2022.02.21)

もちろんこれはコロナの影響だったり、日本全体が「安く」なってきている影響もあると思いますが、それにも関わらず国内の消費行動が加速すると、海外に行くためのお金なんか残っていないだろうし、どんどん「海外離れ」も加速するだろうと予想できます。

一方でオランダのパスポート保有率を調べてみると、いわゆる"travel documents"を持っている人たちの総数が約1800万人に対して、パスポート保有者数は約1020万人。約6割の人々がパスポートを持っていることがわかりました。もちろんオランダは陸続きで国外に出かけられる国。その手軽さは日本とは比べられません。

「海外離れ」自体は別に悪いことではないとは思いますが、そこから派生して「英語離れ」も起こり得るのではないかというのが憂いです。

"海外離れ"は"英語離れ"にならないか?

最近では修学旅行が海外ではなくなっているという話も聞く中、元英語教員として心配なのは、パスポートを持たない人が増えるということは「海外に行く」という経験をしない人が増えるということ。英語圏に限らず、お隣の韓国や中国などにも出かけない人が増えるということは「言語が異なって不便する」という経験も減るのではないかと推測します。

あえて日本でそういった場所を自ら探して言語的に不自由な経験を買って出るという人が多いならまだしも、そうでなければ「日本語以外の言語を学ぶ」ということの価値はなかなか認識されにくくなるのではないかなと思います。

それはつまり、英語に限らず高等教育レベルで他言語をある程度マスターする人が減るということ。さらにそれは、他言語(特に英語)の研究論文などを読むことができる人が減ることを意味するのではないでしょうか。

上記のような話は少々極論に聞こえるかもしれませんが、フィンランドやオランダに限らず、その国の共通言語が英語ではない国々の中には「人こそ資源」と捉え、高等教育以降では「ほぼ全て英語」で授業を行うところも多く、それに沿うように早期から英語教育に力を入れている国もあります。それはつまり少々大袈裟に言うと、国の存亡に関わりかねないからこそ、人々を国外の世界に"わざと"触れさせ、世界基準で対抗/溶け込むことができる人材を育成することに力を入れているということなのかもしれません。

そういった意味で「国外の世界」に無関心どころか、渡る機会も持たされない、持ちたくないという人たちが増えるということは、日本がどんどん「日本の中だけを見て生き残ろうとすること」にも繋がりかねないのではないかと思っています。

海外に出ることで得られるものは言語だけではなく、「異文化体験」そのものです。その中には多様性に触れるという経験も入っているように思います。ということは、同質性の高い国で長い間どっぷり浸かるということは異文化の存在も、多様性を知り受け入れる姿勢もつくられにくくなるのではないかと思います。

「日本に入ってくる人たち」を上手く使う

今、円安の影響で日本はバーゲン中!先日、こんな動画を見ました。

円安の影響について報道している動画はいくつもあります。という我が家も、今はユーロ暮らしなので日本に帰るとモノがすごく安く感じました。一方で、モノが安いことはそれだけに限らず、ヒトという資源も安くなっているということなのではないかと推測します。

日本は今、この円安で訪れる海外観光客や日本に(今まで以上に)流入しようとする外国人を上手く使うことで、まずは英語教育を充実させるところから始めてみては良いのではないかと思います。

例えば、
・外国人観光客が買い物をする場所で接客を体験
・(地元に観光名所がある場合)外国人向けガイドツアー(歴史×英語)
・日本文化に興味がある外国人留学生などを授業に招待
・簡単な日本料理を観光客が集まる場所で提供(家庭科×英語)
・外国人留学生が在籍する大学の授業を聴講(キャリア×英語)

など。

どれも既にどこかで実践されているものだとは思いますが、外国人の数が多いことをアドバンテージにとってみてはどうかななんて思います。

学生のうちは購買行動よりも「経験」に価値を置くというチャンスを与えて、そこで得た機会が英語学習や社会学など、後に広く社会や世界を見るチャンスに繋がると良いな〜なんて思っています。


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