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🇳🇱オランダ現地校での先生日記🏫

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現地小学校で講師として英語の授業に従事させてもらっている中で感じていることをまとめています。
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記事一覧

インターと公教育が手を取り合えるか?

こんにちは!私は今、オランダの中でもTTO(tweetalig onderwijs)に分類される、いわゆるパイロット的な小学校で英語の教員として働いています。このTTOとは"バイリンガル校"と称されることが多く、(割合は様々ですが)基本的には「オランダ語と英語」の二言語でカリキュラムを進めていくことにフォーカスしています。 「えぇ〜、二言語で教育するなんて魅力的!一石二鳥!」 と思われるかもしれませんが、"バイリンガル教育"はメリットだけではないと現場にいると強く感じます

コーチに「帰って」と言われたテニスレッスンの子ども

こんにちは!先日、娘のテニスレッスンを外で見学していた時のことでした、クラブにはカフェも併設されているので、レッスン中そこで仕事をしていることもあるのですが、その日は娘が「今日は見てて欲しい!」と言ったので、青空の下、レッスンの様子を見守ることに。 娘が所属しているグループには、前々から1人、コーチの言うことをなかなか聞き入れられない男の子がいました。その子が遂に今日、コーチから「帰ってくれ」と言われたのです。 再三の注意も聞き入れない「じゃあ、次はあのラインに順番に並ぼ

生徒家族の訃報、その時学校に寄り添える余裕はあるか?

こんにちは。先日、私が勤務する学校の生徒のご家族に不幸がありました。生徒の保護者が癌で亡くなったのです。教職員間のチャットでは校長からその連絡が入り、教職員がお悔やみの言葉を添えていました。 クラスメイトの保護者が癌だとわかった時去年の冬頃のことでした。あるクラスの生徒の保護者が癌だと宣告されて、当該生徒はそのことについてクラスメイトに話をしました。残念ながら、腫瘍は悪性。先は長くないとの話でした。 死は誰にでも訪れます。しかし、その瞬間がまさか自分たちの保護者世代にこん

「ママが決める転校」「パパが決める進路選択」

「Josh(仮名)ね、学校変わるんやって。お母さん知ってた?」 今となっては少し前の話ですが、ある日の夕食時、娘が急にそう言いました。 「え?Joshって、クラスの?転校するってこと?」 「そう。vakantie(休暇)の後、もう別の学校に行っちゃうって」 「そうなんや。何でなんやろう?」 「学校の成績が良くないんやって。上がらないから?よくわからんけど、皆んなの前で喋ってた。"僕はこの学校好きだけど、ママが決めた"って言ってた。かわいそうやね。ママが全部決めるんか

保護者の一存で決める習い事の裏側で子どもが本当に感じていること

こんにちは!前に、娘のクラスの友だちが保護者の一存で一緒に通っていたダンスを辞めることになった時、娘が私に発した言葉について記事を書きました。 他にも、ママ友から「子どもの意見を尊重する」というエピソードを教えてもらった話。 今回は、別の子どもに起きたエピソードです。 継承言語の教室に通う子の話その子は保護者の片方がスペイン語を話す家庭に育ち、楽しそうにスペイン語教室に通っていました。「今後、レッスンでピニャータ(メキシコのお祝い)をやるんだ!」とか「レッスンでは友だち

ユーモアがあって溶け込んでいける

こんにちは!先日、Voicyで私が勝手に考察するオランダ人の性質についてお話ししました。 これは決して、"全てのオランダ人"を総括するものではありません。これは、私がオランダで暮らし、学校の先生や、保護者、一緒に働くフードバンクのスタッフとのやり取りや、観察の中で見えてきたものです。 きっと君は関西人〜 by.嘉門達夫↑ ご存知ない方は"1:00"からご覧ください。 私の勝手な考察として、オランダの人々は関西人に見えます。その理由として、 ・思ったことは口から出ちゃう

「小学校はコミュニケーションを学ぶところ」

こんにちは!先日、オランダにある日本人学校に勤務されている先生方と一緒に食事をする機会があり、ホームパーティーに招待していただきました。その時に、オランダで移民として生きる、いわゆる「2世」の方とお話しをしました。 彼の名前は"Thais(仮名)"、オランダで生まれ、オランダの現地校に通い、今では人工甘味料の研究者として企業に勤めています。彼自身はいわゆる"移民二世"で、保護者はトルコ出身です。そんな彼の生い立ちに耳を傾けながら、彼がオランダの教育を受けてきて感じることなど

留年した生徒を迎え入れた教室で

こんにちは!先日「オランダには留年や飛び級制度があって良いですね」というコメントをいただきました。私自身、子どものペースに合わせた学びの制度があること自体に異論はありません。ただ、そのコメントをいただいた後に、自分が勤務する学校でいわゆる留年した生徒が発生しました。 その生徒の表情の暗いこと。 前のクラスにいた時の様子を知っている私としては、心が痛みました。もちろん、新しいクラスになってからまだそこまで日数も経っていないからこそそう見えるのかもしれないのですが、目の前の生

オランダで子どもを留年させる?

こんにちは!雪もちらほらと降り始めたこの頃。気温がとても低い日も目立つようになってきました。とはいっても、マイナス10度なんかにはならず、寒くてもマイナス3度くらいです。 アメリカでアイオワに留学していた私ですが、冬場はマイナス25度なんてこともありました。笑 ジムの帰りに髪の毛が凍ったことを思えば、オランダの寒さは…まぁまだ耐えられる寒さです…(と思おうとして生きているw) オランダへの移住の相談の中でオランダへ子連れで移住したいという考えをお持ちのご家族からの連絡が絶

色んな家庭の事情を乗せて、教室は回る

こんにちは!あともう少しで2023年も終わりを迎えます。11月や12月はオランダにとってお祭り続きの月です。11月からはシンタクラースのお迎えに賑わい、12月にクリスマスパーティーが行われる学校も少なくありません。 私が勤務している小学校は他の公立の小学校と少し異なり、国際的なカリキュラムを採用していることもあって、他の小学校と同様に、そして時に一般的な学校よりも国際色が豊かです。 シンタクラースを祝わない子どもたちオランダにはシンタクラースと呼ばれるオランダとベルギー版

一問一答で逃げられないオランダ語レッスン

こんにちは!毎日暗がりが続くこの頃ですが、実は先月からオランダ語レッスンに通っています。オランダの市民化テストに合格するためと、単純にオランダ語レベルを上げていきたいな〜という思いから、週に1日、午前中3時間使ってレッスンを受けています。 国際色豊かなレッスンメンバーこれまでもオランダ語のグループレッスンを受けたことはあったのですが、私の場合、毎回レッスンメンバーは国際色豊かです。もちろんオランダ語を流暢に話せるオランダ人はいませんが(笑)、イギリスやペルー、トルコやフラン

「やられてもやり返さない」を子どもに伝えること

こんにちは!どんどん寒くなる12月…朝目覚めても外は真っ暗な季節がやってきました。今日は子どもたちの間に起きる「もめ事」について。「やられたらやり返す」は果たして"学び"なのか?ということについて書いてみたいと思います。 「やられたらやり返す」は正義なのか?学校で教育に携わっていると、いろんなことが起きます。「⚪︎⚪︎が先にやってきた」だの「私はそんなつもりでやってない」だの、本当にたくさんのもめ事が起こります。 個人的には「もめごと」は悪いものではなく、異なる誰かと生き

もめ事が起きた時「どっちが悪い」にこだわってしまうこと

こんにちは!毎日どんよりと暗い日が続いています…先日、現地校での授業の日、私が単独で行う授業が終わった後、別の学年の授業サポートとして入っていた時のことです。 "He is crawling."(彼はハイハイをしています)という例文に基づいて、生徒たちがその真似をした時、一部の生徒2名の間でいざこざが起きて、1人の生徒が大声で泣き出しました。 その時に「ちょっとそとに連れてって対処してあげて〜」と言われ、教室の外へ連れ出したのですが、その時の自分の指導のあり方に関して反省

「休みの日に仕事の連絡してこんといて」と同僚

こんにちは!毎日雨続きの日…この2週間雨が降らなかった日なんてなかったのでは?!というくらい雨が続いています。この時期の気候にはいつまで経っても慣れない私…あぁ、長い時間、太陽が見たい。 さて先日、長期休暇をとっていた同僚の事務員のJanne(仮名)から教職員全員に一斉送信メールが届きました。その内容は「長期休暇を取ってる時に連絡してこないで」というものでした。笑 「オランダらしい文化だぜ〜」と思いながら、彼女の意見にも強く頷いた私。今日はそれについて書きたいと思います。