妥協と臨機応変
一緒に働いている仲間との時間で、たくさんの感謝もあり、やはり一人で仕事はできないな(今は、できないという表現よりも、したくないな、の方が合っているのだけど)と感じている。
そんな大前提の中、近頃、共に働いてくれている女の子たちが、「これでいい」になっていることが多くて、残念に思うことがある。それをここに記しておきたいと思う。
食の仕事をしている私たち。
例えば材料で何かが足りない時があるとする、調理で何かをしすぎてしまった時があるとする。「これでいいか」一人の自分が右耳でささやく。
また、パソコンを前にしてレシピの文字データを作成している時、撮影現場で、皿の盛り付けに対して、「これでいい」はささやいてくる。
「食」を仕事にする現場では、さまざまなシチュエーションがある。
「これでいい」という右耳のささやきに左耳の「いやいや、もっともっといいものを作るためにもう一歩貪欲に求めてみようよ」という声がないと、プロと言ってもらえない。仕事は続けていけない。
ただ、「これでいい」という思いは悪いものだけではなく、実はそこに、「臨機応変力」が隠れている。
「臨機応変力」というのはポジティブな言葉だ。
いざ、どうしようもない時に「臨機応変」ができるかどうかの違いは大きく、それが成功と失敗を分ける。
だから、「臨機応変力」はあるに越したことはないし、仕事をする上であるべき要素だ。
だけど、「臨機応変」というのは、全ての手を出し尽くして、どうしようないという時、思いつく全てを実行しても手立てがない時に使うものだ。
そうでない場合は、それは臨機応変ではなくて妥協という名前に変わるんだ。
ここから先は
HITOTEMA倶楽部
「HITOTEMA」は、2014年にスタートした渋谷区にある週一回のみオープンするレストラン。そんな変わった業態でお店を続ける中で、お客様…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?