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商品ではなく販売手法で顧客の選択肢が狭まる愚行に指摘。手数料のあり方にもメスが入るかもしれません。(中間報告を踏まえ)

仕組債、仕組預金、そして外貨建一時払保険と銀行窓販における悪役3兄弟(昔だんご三兄弟って流行りましたね…)

日本経済新聞でも早速取り上げられてましたね。(仕組預金は?!と思いましたが)

2024年4月3日に金融庁が発表した"リスク性金融商品の販売会社等による 顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果 (2023事務年度中間報告)"

の中で名指しで指摘したものが外貨建一時払保険と仕組預金でした。

それぞれの項目は見ていただければわかると思いますが簡易的に説明すると
・適切な顧客に向けて
・適切な販売手法で他の商品とも比較をし
・銀行の都合ではなく、顧客の利益を最大化できるタイミングまでメンテナンスせよ

ということでしょう。

P3より抜粋すると、"全ての重点モニタリング先で、運用型商品の一つであるターゲット型保険のほとんどが目標値に到達すると解約され、同時に同一商品を同一顧客に販売する事例が多数発生している。こうした乗換販売によって販売手数料等が二重に発生する(※2:P5参照)ことを考慮すると、顧客にとって経済合理性があるとは言えない。販売会社は、目標値到達前に顧客に対して無償で目標値の引き上げが可能である旨を伝達した上で顧客の意向を踏まえてアドバイスするなど、 顧客を適切にフォローアップすべき"

確かに為替が大きく動きましたし、今後の先行きも考えると一度解約する方がいてもおかしくありませんし、金利も大幅に上昇しているので、一旦解約したあとで同様の商品を加入する可能性がないわけではないかと思いますが

ドル円チャート 
2019年ごろに加入している方々はドルベースではなく為替で+になっている方が多いかと。

そもそもの加入目的が運用ではなく、死亡保障のケースが多いとされている中で解約は適切だったのか?と以下のように指摘されています。

"全ての重点モニタリング先で、保障・相続ニーズがある顧客にターゲット型保険を販売しているが、少なくとも、中途解約した顧客については、これらのニーズを 充たせていないと考えられる"

個人的には終身保険は一生涯の死亡保障を持ちたい方が効果的に最も低コストで買える手段の一つだと思っていますし、それを解約して再加入することが顧客にとってのメリットが出るようでしたらいいと思います。しかし、解約控除なども含め利率を見直すことが顧客にとって総合的なパフォーマンスをあげたかどうか?はわかりません。

また投資信託などと比較することはいわゆる投資リターンを解約返戻金と運用益を比較するということになり、対象としていいのか?と思うこともありますが、顧客の苦情である”元本毀損するとは聞いていない””知識、投資経験不足、投資方針の不一致”といった内容が3割以上の顧客から出ている(87/287)ということは販売手法に問題がある、と突っ込まれても致し方ない気がします。

今回は銀行窓販における指摘でしたが、訪問型やショップにおいても払済前提話法や断定的話法、顧客に著しい誤認を与えるようなやり方をしている人もまだまだ耳にしますし、業界がより健全になることを自浄できるかが問われています。一部の方々の素行の悪さで業界全体が不利益を被らないようにするためにも、しっかりとした管理体制強化がより求められると考えます。

販売会社及び組成会社においては、本モニタリング結果を参考に、顧客本位の業務運営の確保に向けた取組みを改善するにとどまらず、ベストプラクティスを目指した取組みを促進すること、また、こうした取組みを通じて国民の安定的な資産形成を支援することを期待 する。その際には、必要に応じて、販売会社と組成会社が連携して取り組むことを期待する。

この言葉がとても重く聞こえるのは私だけではないかもしれません。

生命保険においては生命保険協会が代理店業務品質評価運営の基準を制定し、認定制度もあります。
1.顧客対応>(1)お客様ニーズに合致した提案の実施に向けた募集に関する態勢整備>⑤特定保険契約に関するルール>No.28が特定保険契約の条項です。この中を徹底できるのが最低限の基本だと考えています。

hokan社においてもこの辺りを解説する機会をつくっていますのでお時間がある方がぜひ覗かれてはどうでしょうか。


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