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目と感情

五感の中で一番よく使うのが、視覚ですが、皆さんは、目の役割について考えたことがありますか?コンピューターの画面をみることが多い昨今では、目は対象物に焦点を当て、分析し、理解するものと思われている方も多いのではないでしょうか。

網膜の中には、約120から150 個の視細胞(錐体細胞と桿体細胞)がありますが、そのうち中心に焦点を当てる役割の錐体細胞は、ほんの五%ほどで、大半の細胞は、周辺を感知する役割の桿体細胞です。 実は、目の役割は、動きを感知すること(周辺視野)の方が、詳細を理解すること(中心視野)よりも大きいのです。

中心視野に重きを置く生活では、5%の錐体細胞を酷使してしまうだけでなく、周辺を視野から切り捨ててしまいがちになります。目は体を司りますので、見え方は、感じ方、考え方、行動などにも深く影響を及ぼします。自ずと物の全体像が見えなくなり、中心ではっきりと見えているもの以外は切り捨ててしまうような、人間観、世界観になってしまいがちなのです。 

「目を中心視野ばかりに集中することから解き放つこと」を教えてくれたこのセミナーの後、私はコンタクトを一切やめました。コンタクトは周辺視野も矯正しますが、つけている時と外した時のギャップが大きすぎて、外す度に「ああ、私は全く見えない」と思ってしまうんです。セルフイメージが小さくなってしまう。完全に依存してしまう。 代わりに、度がとても低いメガネをつくり、一日に何度もメガネをはずして行動する時間をつくることにしました。度が低いので、はずした時ギャップも小さくてすみます。

 メガネに変えてから、「全然見えない」はずの私の裸眼は、「割と見える」目に変わってきました。周りの動きを感じ、目という臓器の全体、丸い濡れて晒された、三対の筋肉で支えられている球形の重さ感じ取ることで、自分という人間も前よりもスリーディーになっている感じがします。

あるところで目のエクササイズを教えていた時、生徒さんの一人からこういう質問がありました。

目と感情って関係あるのですか?

右目を動かした時と左目を動かした時とでは、違う場面が思い起こされ、いろんな感情が沸き起こってきて戸惑った。全く違う体験に驚いたというのです。視野の歴史は、左目と右目とでは違います。そのため、右目にまつわる感情と左めにまつわる感情が違い、よく聞くのが、右や左にあるものを見るのに頭を回転させる場合、どちらか一方は向きやすいのに、もう一方はあまり向きたくないという、気持ちの違いです。こっちの方向は、とても向くのが嫌だという人さえいます。

目は直接脳から発生しており、五感の中でも一番多く情報を取り入れる器官ですので、いろんな感覚や感情をためているといえます。私達は、レンズを通して入ってきたイメージを網膜で処理し、視神経が脳に情報を伝達し、それを理解するのが「見ること」と捉えています。知的な作業のように思えますよね。でも、赤ちゃんの時は、目から入ってくる情報を、そのまま体全体で捉えていたんです。赤ちゃんの脳は、そういう知的分析する機能がまだ整っていませんから、目を通して入ってきたものを体で感じるわけです。体の中で感じているエネルギーの流れを大人の私達は「感情」と読んでいますが、大人の場合は、エネルギーの流れをそのまま捉えるのではなくて、こう言う感情を感じているのは良いとかよくない思ってしまうわけです。

見ているものをあるがままに見るって、実はとても難しいことかもしれません。 

子供が近視になる理由の一つとして、何か見たくないものがあって、自分で自分を近視にしてしまうこともよくあると聞きます。また、「見なければいけない」「わからなければいけない」というストレスがかかると、完璧に見ようとして、目の筋肉を緊張させてしまう。緊張すると、目は見えにくくなってしまう。目と感情は深くつながっています。


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