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ムカデ

【傷のコレクション】

ムカデに刺された。
最初は刺されたところあたりがピンク色に腫れていただけだったのが、
3日目にして、皮膚がカチカチになり無数の水脹れが出てきた。キモい。
わたしの皮膚の細胞が激しく反応しているんだ、と
熱を持って赤く腫れる手首をしげしげと眺めている。 こうやって治ろうとするんだ、と。

体にも心にも、
わたしには数多くの傷跡とストーリーがあって、
それぞれに、その時時の意味がある。ないと言えばない。
でもあると言えばある。
今は、
ムカデに刺されて痛くても
「え〜ん」とか言いながら、ちょっとにやついて傷を眺める人である。
なんなら、案外、やさしい気持ちでいる。

傷のコレクションには
嫌悪感を示す人も多くいるのではないかと思うけど(ムカデにも)(わたしはムカデ平気な方)、

痛かったことは
振り返れば、案外大切なことを
うっかり学んじゃったりしていて、
その度向き合って観察して分析したりすると、後からおもしろいと思える。
別に悪趣味なつもりでもなくてね。
(マッチョな男に殴られるとかはごめんだけど)
「え〜ムカデ、刺されたらどうしよう〜」と怯えてる時より、
刺されてしまえば怖さはない。
(尻尾で刺す、と思ってたら、頭の近くの顎肢というところらしい。)

たぶん、わたし
なんでもおもしろくなってきちゃったんだと思う。
生きてることが。起こることが。

いいじゃん家だし。
(いいじゃんかの川崎出身)


起きたことは、わたしの目から見ると
(気づくべきことがあって)→ケガする→ショック→(対処)→痛み→炎症→治癒→(観察)→気づく(考察)→バージョンアップ

体の中では(炎症➖治癒)のところがもっと細かくあるんだろうね。
細胞とかさ。

ムカデに刺された傷が
今日はいろいろ教えてくれる。
ケガの功名とも言うし。


君の心の中に棲むムカデにかみつかれた日
ひからびかけていた僕の
明日が見えた気がした
誰かを憎んでたことも
何かに怯えたことも
全部かすんじゃうくらいの
静かな夜に浮かんでいたい

スピッツの流れ星の歌詞を思い出した。




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