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なぜ僕がこうなったのかについての2、3の理由(9)

 時刻を確認しようと携帯を開くと、サークルの先輩Pから電話2本あり。すっかり寝過ごしてしまっていた。今日はひざびさにPたちと会う飲み会があったんだ。昨夜クラブで遊んで朝帰りしたせいで夕方までベットの中。きのうのクラブはかわいい子がいたなあ、そんな甘ったるい記憶を反芻する暇もなく急いでシャワーを浴び、新宿の雑踏へ出かけていった。また新宿か。12時間前にもそこにいた。途中、ドラッグストアで軽く気つけ剤として滋養強壮剤を飲む。空腹にしみわたる濃い液体。約3時間の遅刻。Pは怒ってんだろうな。電話を入れて場所を確認する。
 

 「ああ、いま新宿。ごめん、遅くなって。すぐ行くから、場所おしえて。靖国通り沿いの……」
 できるだけ懇願するように言う。Pのサークルを辞めてから3ヶ月ほどたつが、Pほか数名と友達づきあいはつづく。サークルという枠がとっぱらわれれば、先輩でも敬語なんて必要ない。
 「はやく来いよ。こっちはけっこう面白くなってんだから。店は、そう、こないだのコンビニの角を右に曲がった先の派手なビルのB1。地下だけど携帯つながるから大丈夫」
 

 「くろねこ」を辞めたのは飽きたからだ。男女数十名が集まって何か大会に出るでもなく、何かを目指して練習するでもなく、多数決でそのときの遊びを決めて暇つぶしする集団である。まさにサークルだ。丸くて、閉じてて、中身に突出した出来事や人間が現れると中心へ向かって押し戻す作用がある。平板になるためだ。その反作用として、中心に押し戻すことができなかったものはサークルの外にはじき出される。僕はサークルの活動内容に異論はなかった。結構楽しんだし友人もできた。Pは僕の面倒をよく見てくれた。というか遊び仲間に僕を引き入れた。高校3年間を真面目に過ごし、たいした遊びもせずに大学へ来た僕は、Pの洗礼を受けて東京になじんでいった。

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