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短い小説「じゃがいもと、わたしの片想いについて」投稿と、「南方郵便機」についてのひとこと

以前、サン・テグジュペリの「夜間飛行」について感想を書いたことがありました。今回は彼の処女作「南方郵便機」について、ひとこと書きます。これねえ、「夜間飛行」の後に読んだのです。読んで一発目の感想は「もうわけわかんない」ホント、どうしようと思いました。

っていうか語り手「僕」、「僕」って誰さー!。誰さ…。

「僕」は主人公ベルニスの幼馴染、という設定っぽい感じです。しかし、はっきり自分の正体をはっきりおっしゃってはくれません。読んでいくと、ベルニスの心の裡を見てきたかのようによくご存知な感じで、ああこれは友達に見せかけて「僕」は、ベルニスを冷静に見つめる彼自身の心の一部なのかと思いかけていたのですが、あれ、最後の方ベルニスを探しに来て老軍曹と喋ってる…。この人存在したんだ。じゃああんた誰だ…。何者だ…。

きっと「僕」はベルニスの幼馴染で、ずっと気にかけていて、自分のいない場所でもベルニスのことはジュヌヴィエーヴとのことも手にとるようにわかる人なのだろう。ベルニスの心の一部に入っていけるのかもしれない。そうすると興味深い…いやいや…。そんなことはね、うん…。

ストーリーをちょっと説明すると、ジャック・ベルニスという郵便機の操縦士が、ジュヌヴィエーヴという幼馴染で今は既婚の女性と、彼女の子どもの死をきっかけに逃避行(めいたもの)をしたのだけれど、結局のところうまく行かずに、彼はまたひとり空の上に。だがあるとき…。

全編とても詩的な文章で、今、誰が、どこにいて、何をしているか、ということを理解することがすごく難しかったです。でも、そんな順番はどうでも良いのかなあと思ったりもします。美しく柔らかく、それでいて尖った刃みたいに次々と畳み掛けるように紡ぎ出される言葉に全身を揉まれるような感覚を味わうのが、気持ち良い感じがしますね…。これはテグジュペリさんもそうですが、訳者の堀口大學さんのお力によるものも大きいのでしょうね。

私がサン・テグジュペリで一番最初に読んだのがかの有名な「星の王子さま」だったのですが、次に「夜間飛行」を読んだときに「へえ、意外な感じ」と思ったんです。で、その後でこの「南方郵便機」を読んだのですが、そのときに「ああ、星の王子さま」を書いた人っぽい!確かに」と、思ったことを覚えています。

さて、私も短い小説を書きました。

今回短いといっても4000字ほどあることもあり、アルファポリスさんに投稿しました。よかったら読んでください。片想いの女性が失恋するお話。

今回のカバー絵はこんな感じで…。

「My unrequited love」

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