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「楽譜をよく読む」の落とし穴。

こちらも過去のFBの記事。転載しておきます。☘️


【「楽譜をよく読む」の落とし穴。】2018.10.3

クラシック音楽の世界では、「楽譜を忠実に読み込み」ということがよく言われます。
それは演奏する時、とてもとても当たり前の行為ですが、ライターさんがピアニストを讃える時にも、どの誌面でも書かれている一文ではないでしょうか。

「楽譜を読む」というのは記号だけでなく、
速い楽章やオーナメントが8分音符で書かれているのか、16分音符で書かれているのかでも音の意味・歌い方が変わってきますね。
アナリーゼや時代・様式によるアーティキュレーション、書かれていないスラーのイントネーションを理解することも読譜の一部です☘️

ですのでとても大切なことではあるのですが、
その言葉に「縛られすぎる」ことは、
少し弊害があるとも私は感じています。
 
 
多くの国際的なコンサートピアニストは小さな頃から音感があり、
幼い頃、聴いただけで弾けた人が多いものです。
そのため、彼らの多くが小〜中学生の間くらいまであまり楽譜を見なくとも弾ける事が多く、
自由に弾き、宿題以外の曲を大量に趣味で弾き、楽譜をあまり見てこなかったのです。。(笑)
頭にもう音があるので楽譜をついつい見ないのは、子供であれば当然の流れですよね。。☘️
 
それゆえ「楽譜をしっかり見なさい!」と先生に言われて続けて育ち、
芸術性が高度になるほど楽譜をよく読む重要性を真に理解し、大人になってもそれは同じで、耳だけにならないように、
自分の為に、また楽譜から発見する事の感動により、
ピアニストがそう発言する機会が増える訳です。

絶対音感も、訓練でつけた音感と、
自然についた音感は少し脳の反応が違います。
訓練でつけた音感は左脳がすぐに反応し音に名前がラベリングされますが、
自然についた音感は、音そのものを記憶しているので、
音の高さだけではなく空気や質感全て含んだ記憶が脳にすっぽりそのまま入り維持されることであり、
音楽全体をビデオの様に覚え、それが脳内で再生されるものです。
前者は音を判別する能力で、
後者はさらに大きな空間全体の記憶能力です。
 
それゆえ、音感があまりなく、音楽を聴いても同じ様に弾く力が弱い子にとっては、
私は逆の(楽譜に執着しない)指導が良いと感じています。
もちろん、楽譜は丁寧に読み、音や書かれていることの意味を伝えますが、
「聴いて弾く」量を圧倒的に増やし、耳が開くように、
レッスン内でも私自身よく弾くようにしたりします。
 
「真似」ができることは、脳と身体を複雑に連携させることができる偉大な能力であり、
音のみしか真似できない子、
音の質感・奏法全てを1度で真似できる子、様々です。
その能力は幼いうちの方がよく発達します。
 
良い耳を持っていると、自分自身で気づき、
聴くだけで学べる事も大量に増えます。
それは「音楽から」や「先生から」に限らない、
「万物から学べる気づき力」になってくれます。
 
右脳が強い子には左脳的な方法を、
左脳が強い子には右脳的な方法を取り入れる時間を
様子を見ながら少しずつ作り
既に耳がある子と、これから耳を育てる子、
教え方は変えてゆけると良いものです☘️

そして、時折います音感がとても強い子には、
無理に左脳的な方法で教えると
その右脳的能力を壊してしまいます。
ぐちゃぐちゃの12個の音(和音)を1度でとれる子などは
楽譜を見せると3秒で脳が作動拒否、
ボーッとネムネムになり目をこすり始めます。(笑)
でも、とても美しい特別な音を出せる子で
その子の音を聴いて涙を流す人がよくいらっしゃいました。
楽譜は5.6年生くらいでようやく読めるようになりました。
その様なタイプの子は、脳が自然に楽譜を受け付けるのを待ち、
無理に早く読ませない方が良いと思います。
脳や身体の変わる中高生の頃に突如、とても伸びるからです。

音楽は、耳のためのもの。
紙のためのものではない。

とドビュッシーは言いました。

・・・と言いましても、
ドビュッシーやショパンは元のタイプが右脳派、
バッハやベートーヴェンは左脳派で、
脳の構造・耳、音楽の作り方が
彼らも全く違います。😊
 
人それぞれ違う脳。
その子にとって一番良い方法は、
世間で言われている方法とは違うことがよくあります。
ですので、「教える」ことはただ先生の知識・方法を伝えるのではなく、
「その子を観察する」事が何よりも先です。
 
耳の感受性は、11歳までがよく開きますので
その時に読むことばかりに集中し、それへの大人の執着により、
子供達の耳で聴いて手で弾く自然な欲求(脳回路)を抑えることは
とてももったいないと思います。

言葉も、私たちはまず耳で話せるようになり、
口で好き勝手に真似してみて、
話せる様になってから紙の上で整理しますよね ⁎ˇ◡ˇ⁎
紙の上に移る時も、子どもたちは字が理解できるという喜びに溢れ、
頼まれなくとも「お手紙」をたくさん書く様になりますね。( *ˊᵕˋ)

楽譜を読むことは、青年期脳に入ればスムーズにできるようになるので、
ある一定量継続して学習していれば読譜が遅くとも何も問題はありませんが、
耳の方には臨界期があります。(11歳くらいまで。)

読譜力は目に見えて誰にでも解りますが、
耳の質の能力(ドレミ判別ではなく、音色への反応・和声感など目に見えないもの)は演奏家しか気づきにくいので、
たいてい耳が置き去りにされてしまいます。

 
「耳の感性を育む(残す)ことが何よりも先」だと、
私は感じています。
これはロシアやヨーロッパの子どものための音楽院でも大切にされていることで、
進級できるのは「今弾けているか」よりも、
耳の感性がある子たちだそうです☘️
それは、その様な繊細な耳があり、
音楽の中にある深遠な美を楽しめる人でないと
結局は音楽を辞めてしまうからです。
 
 
結局何が言いたいかと申しますと、、(o^-^o)
小さな子たちが楽譜が読めないことで、
どうか、焦ったり怒ったり、しないであげて下さい。(;_;)
耳からで良いのです♪
弾けたものを後から楽譜で確認すれば
楽譜はその内わかる様になります。
 
 
また、よくご質問頂きますが、
弾く曲の音をドレミでどこかに書くのはおすすめしません。
左脳的になり脳の違う回路を使ってしまうので
読譜も余計に遅くなります。
それなら1フレーズごと耳で覚える方が良いです。
耳←→楽譜という「音と図形」のみで
脳内連結してあげて下さい。
 
楽譜も、数えて読ませるのではなく(左脳的方法)、
フラッシュカードの様なもので
反射的に鍵盤と結びつけてあげることを何度もしてあげると良いです。(右脳的)
1音だけではなく、和音やフレーズのカタマリでも読みとり、
2つの音の音程(音の距離)が視覚的に、
図形として捉えられることが良いです☘️
 

「理論は後から作られたもの」
これは生きる術など、全てのことに言える様にも思います。⁎ˇ◡ˇ⁎
私達の身体は、
しやすい、生きやすい、方法を
本来知っていると感じています。
 
その身体の持つ自然なルート、
人それぞれ違う発達の順番を、
思考で塞ぎ、変えてしまわないことだと思っています。


追記☘️ ーーーーーーーーーーーーーーーー

言葉と同じなのは、
「あいうえお」という音を知らずに「あいうえお」から勉強させることはありえないように、
ドレミの音を想像できないのに、音も聴かせずにそれを読めるように教えるのはおかしいですよね。

そして、「あいうえお」よりも前に実際の言葉、
「おはよう」や「つくえ」を知ってから「あいうえお」に取り組みますね。

音楽も同じで、音楽の音,メロディ,リズムが頭の中に先に大量に、はっきりと深くあるのが普通の流れです。
ですのでお歌から入るのもナチュラルでgoodです♪

そして、楽譜のみから音を入られた子どもは頭の中で音楽が流れないので、
止まりやすくもなります。

言葉を「おはようございます」
と普通に知ると、
「おは、ようご、、ざいま、、す」
とは絶対に言うことはないですね。

たどたどと1音ずつ音符を読んでしまうと
それと同じことが脳で起こり
インプットされる方法が違うので、
音楽をする脳とは違う所を使ってしまうので
音楽が止まるのです。

言葉の文法は私たちも後から知りました。
音楽脳も、その順番(理論は後)がナチュラルに育ちます☘️

私が通っている英会話スクールもそう言えば同じ事を仰っています(o^^o)
脳内のかたまり処理。

会話という0.5秒のスピーディーな中では文法を考える時間はなく、
思ったら言葉が出るようにする回路で英語と気持ちを繋ぎ、その脳回路を発達させなければ会話はできません。
考えて出す回路は道順が違うためです。
日本人の多くが学校で6年も英語を学び、筆記はできるのにスラスラ話せなかったのは、脳の使う回路が違ったからです。

音楽も同じで、脳の回路が違うと音楽が流れず停滞してしまい、
作品が難しくなった時に処理しきれず
追いつかなくなってしまいます。

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