見出し画像

『ミッドナイト・スワン』~白鳥の夢~

遅ればせながら『ミッドナイト・スワン』見ることができました。

ネタバレにならない程度に…しますが、想像以上にリアルな部分と「?」な部分と色々。

トランスジェンダーについてはうんうんと頷けるいう部分とそこクローズアップする?という部分とがありました。
バレエ、という点からは日本の「リアル」なバレエが十分に描かれていたと思います。

一方で、バレエ史研究が本業の私から見ると、"日本のリアルなバレエ状況" と海外の状況の違いをどう乗り越えればいいのだろうといういつもの問題に頭を抱えてしまったりもします。
どちらが良いとか悪いとかいう事ではなく、「舞台芸術」として見られ受容されている欧州のバレエと「お稽古」の方が圧倒的に身近な日本のバレエ。

どちらも重要なのですが、個人的にはどうしても日本では影が薄くなりがちな「舞台芸術」の部分、大人も男女共に楽しめるものとしてのバレエをどう伝えられるかなと思っている日々なので、一言でもいい、「舞台芸術」としてのバレエへの言及が欲しかった~~と心の中で叫ばずにはいられません。
バレエ・リュスもバレエ・スエドワも「舞台芸術」としてのバレエでお稽古としての部分はない、と言っても過言ではないので…。                                    (もちろんレッスンによってつくられるのがバレエではありますが)


映画は100%「お稽古」バレエ&ショーダンスにおけるバレエでした。

ただ、このショーダンスにおけるバレエの問題は結構重要なので、これについてはまた改めてどこかでしっかりご紹介したいと思っています。
とても面白いところでもありますので。

映画に話を戻すと育児放棄にあって草彅剛さん演じる凪沙に引き取られる一果を演じる服部樹咲さんは映画の中でもしっかりダンサーとしての成長を見せていて、今後楽しみです。

芸能事務所フラーム入りが報道されましたので、バレエより女優業を強くされるのかもしれませんが…。

会場では泣いている人多数の映画でもありました。
そして、1席おきではなくなった客席、ここ半年で一番多い観客でもありました。


ありがとうございます。 欲しかった本やプログラムを購入し、Ballet Collectionの充実に励みたいと思います!