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パリ・オペラ座のガラ公演無料配信

オペラ・ハウスでは "2020-2021シーズン" 、"今期のシーズン" といった言い方をしますが、この「シーズン」の概念が最初分かりませんでした。

知ってるよ~という方も多いかもしれませんが、「シーズン」は夏休み、ヴァカンス明けから年を超えて6,7月(国や劇場によって違います)までを「1シーズン」と数えます。

今は、「2021-2022シーズン」となるのですが、世界中に流行中のCOVID19のために劇場でのオープニングを告げる公演ができないところがほとんど。パリ・オペラ座も例外ではありません。

例年かなり華やかな、レッドカーペットが劇場前階段に敷かれ、かつてはあった「社交界」的雰囲気が現在でもっとも強いのがこのオープニングナイト。(ヘッダーは2019年のオープニングですが、このように劇場が花と光で飾られ、公演後には劇場内を使ってディナーが振舞われます。(これは他の夜にも時々開催されています)
会場には正装した男女が沢山、目にも楽しい一夜です。新作のドレスも沢山。

そんな特別な夜の上演予定演目を今年は無料で配信中です。歴史始まって以来の事です。

1時間ほどと実際よりは短く、作品も限られてはいますが、なかなかない機会ですので、是非!

いつまで公開かの明記がないので、お早目にどうぞ。

上演演目は下記の4演目です。
1.『デフィレ』
セルジュ・リファールがヘクトル・ベルリオーズの行進曲に合わせて振付けたバレエ学校の生徒からエトワールまでパリ・オペラ座バレエ団総出演の演目。毎回上演されるわけではない(最近は慣例化しつつありますが)のですが、「ただ歩くだけ」でダンサーがどれだけの事を語るか!という事が実感できると思います。
今年はマスクで顔を覆っての異例のバージョンとなっていますが、人数が多いので仕方ないのでしょう。
(生徒さんなど分からないので名前のテロップがあったら嬉しいのに!と思いました。実際の舞台では不可能な事を映像なら、でやってくれるとちょっと嬉しいですよね。)

2.『グランパ・クラシック』
イヴェット・ショヴィレとヴラジーミル・スクラトフのために当時パリ・オペラ座のバレエ・マスターだった振付家ヴィクトール・グゾフスキーが振付けた作品で音楽はバレエ『マルコ・スパダ』。初演は1949年、シャンゼリゼ劇場☆
踊るのはパリ・オペラ座の美しい二人のエトワール、ヴァランティーヌ・コラサント、ユーゴ・マルシャン。

3.『イン・ザ・ナイト』
ショパンの音楽にジェローム・ロビンスが振付けた洒落た作品。
ロビンスは『ウェスト・サイド・ストーリー』の振付でも知られる振付家。
1970年にニューヨーク・シティ・バレエ団が初演、3組のカップルが描かれています。
今回は何と元英国ロイヤル・オペラ・バレエ団芸術監督だったアンソニー・ダウエルの衣裳デザイン。
(ショパンの音楽にバレエ、というのは当たり前に感じられる今日ですが、最初に舞曲でない曲を踊ったのはイサドラ・ダンカン、その大いなる影響をうけてミハイル・フォーキンがショパンの曲を使った『レ・シルフィード』を振付けたのは案外忘れられているかも…)

4.『精密の不安定なスリル』
バレエに革命を起こした一人ウィリアム・フォーサイスの作品。1996年に当時芸術監督をつとめていたフランクフルト・バレエ団で初演された作品。
プルミエ・ダンスーズのオニール八菜さんも出演されています。
衣裳はシャネルが今回のために制作したものですが、シャネル社はカール・ラガーフェルド存命の頃からしばしばパリ・オペラ座の依頼を受けています。
そもそもココ・シャネルはバレエ・リュスへの出資によってパトロネスになったことで社交界に個人としても受け入れられたことを考えると当然とも言えそうな関係です。

無観客で『デフィレ』はマスクアリの異例なバージョンは2020-2021年のオペラ・ハウスの状況の記録とも言えそうです。



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