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ミシェル・オバマが書いた「マイストーリー」の出版ツアーのドキュメンタリー番組を見て

NETFLIXでミシェル・オバマ元大統領夫人の自叙伝Becoming(邦題:マイストーリー)の出版ツアーを映像に収めたドキュメンタリー番組を見た。ミシェルはアメリカで初めての黒人大統領の妻で、初めての黒人ファーストレディーだ。出版ツアーで全米を回る中で、テレビ番組に出たり本屋でサイン会を開いたり若者と討論会をしたりしていく中で自分がこれから何をしたいかを探求していく。

ミシェルはシカゴの労働階級のコミュニティで育ち、大学は兄さんと同じプリンストン大学に進んだ。高校の先生には黒人の女の子だからと言う理由で反対された。大学の寮に入ったら同室の白人の女の子はミシェルが黒人だという理由で部屋を出て行ったと言う。自分はマイノリティーだと感じることことが多かったようだ。

若者との討論会でミシェルは両親が大学を出ていないので不安だと語る黒人の高校生に向かって、黒人の大統領が出たからと言ってすぐに世の中が変わるわけじゃない、人から尊重される方法は自分で見つけるしかないと答える。聡明だった祖父は医師にでもなれたかもしれないのに差別のせいでやりたいことができなかった、だから兄とミシェルには成功を望んでいたと言う。

ミシェルは大学を出てからハーバードロースクールを卒業後シカゴに戻って弁護士になり、そこでオバマ氏と出会い結婚し2人の娘の母となる。仕事と育児の両立は難しいと思い、夫婦でカウンセリングを受けた時期もあると言う。悩んだ末に仕事はやめて育児に専念することにしたそうだ。

2008年に大統領選のキャンペーンで全米を駆けずり回って夫の代わりにスピーチをしていくうちに大きな役割を持つようになったミシェルは、メディアから目立ちすぎると批判を浴びるようになる。それからは自分が思っていることではなく台本を読みながらアメリカ国民に話すようになる。

ある討論会でタイ系アメリカ人の高校生が世の中は経歴に重点を置くのが普通でそれに戸惑いを感じると話すと、ミシェルは自分自身を見つめ直し、自分が誰で何を大切にし何に喜びを感じるかといった自分のストーリーを作り上げることが大事だとアドバイスする。

ミシェルはホワイトハウスを離れてたら精神的よりどころがない状態だと言っていたが、アフリカ系アメリカ人のお年寄り達が集まる教会に行った時に、ファーストレディーになってからも自分を持ち続けていたわ、これからも頑張ってちょうだいと温かい声をかけられる。ミシェルは公の場に出るたびに誇りに思ってもらえるように頑張ってきた、と答える。ホワイトハウスにいた8年間の中、ミシェルの存在は多くの人々に勇気と希望を与えてきた。

ニューヨークに住んでいた時に地元の小さな美術館でボランティア活動をしていた。一緒に働いていたのは一人娘がいるシェリルというアフリカ系アメリカ人。背が高くて綺麗でおしゃれで品がある女性だった。今回このドキュメンタリー番組を見ていたらシェリルのことを思い出した。新しい道を切り開く姿は同じだった。残念ながらシェリルは40才の時に心臓発作で亡くなってもういないが、今でも勤勉で思いやりのある人だったな、と心に残っている。アメリカが多様性を受け入れ続ける国でありますように。


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