二つの『蝶々夫人』〜現代におけるポリティカル・コレクトネスとオペラ演出の問題
図らずも1週間に2つの『蝶々夫人』を鑑賞することになった。それもとても対照的な演出だ。ひとつは兵庫県立芸術文化センターでの佐渡裕芸術監督プロデュースオペラで演出は故・栗山昌良。兵庫では2006年、2008年に上演されており、さらにそのほかの舞台でも何度となく上演されてきた、ある意味「定番」のプロダクションである。もうひとつは東京二期会が5年前に初演した宮本亞門演出のプロダクション。こちらは、ゼンパーオーパー・ドレスデン、サンフランシスコ歌劇場を回って再び東京に戻ってきた「最