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クリームパンとカレーパン

ぶらぶらと町を散歩していたら、どこからともなくパンが焼き上がるいい匂いがしてきた。

パン屋さんがあるのかな?

匂いをたよりに、いくつか路地を曲がっていくと
赤いレンガの小さな建物が見えた。

小さな白い看板に「OPEN」とある。
ガラス窓越しに中を覗く。

ショーウインドウの中には、色とりどりのケーキが並んでいる。

狭い店内には、「焼き立て」と書かれたパンの棚があって、今、まさに釜から出されたパンが、並べられているところだった。

思い切って扉を開けると
チリンチリンとベルが鳴って、トングでパンを並べていた女性が、
私のほうに向き直って、
「いらっしゃいませ」と顔じゅうにしわを作って微笑んだ。

ふっくらした手を止めて、「ちょうど今、焼き立てですよ」の言葉と一緒に、酵母の匂いがふわっと漂ってきた。

奥に白髪に白い帽子をかぶった男性が、仕込み作業をしているような様子が見える。

どうやらこのお店は、ご夫婦でやっていらっしゃるようだ。

素朴な温かみのある木肌が優しいお店の様子が、そのままお二人のお人柄を表しているのかもしれないなと、私は思った。

懐かしいような。
もっとここに居たいような。

どれも、素朴で美味しそう。
並べてあるパンを一個ずつ食べてみたいと思った。

考えあぐねた挙句、
さっき、お昼を食べたところで、お腹がすいていないことに気づいて、
クリームパンとカレーパンを2個ずつ買って、店を出た。

また、来よう。
「ありがとうございました」の声かけを背中に聞いて、そう思った。


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