ハゲとヘビメタと私(或いは琉球美貌禿げ唐手、照)#7
それは花見の時期、唄って泣いていたヘビメタ風味の兄さん
との再会だった。
スポーツタイプの自転車に乗って近づいてきた女子はヘビメタが別れてそして泣いていた原因の彼女だという。
「戻ってきたんだね。彼女。
「よかったぁ笑」
兄さんあの時はありがとう、すごく泣いてごめんなさい。
今はまた元気な毎日を送っています。
家も新しく借りて今度友達とパーティーするから
兄さんも是非来てくださいよ。
可愛い女の子も何人か来るよという話。
自転車に跨り側にいるヘビメタの彼女もアイドルを彷彿させる可愛い女性だった。
にこやかに愛想よく私達の話を聴いている。
しかし一度公園で会っただけなのに
パーティーなんぞ呼ばれでもいいのか
ヘビメタは元々明るい人好きのする社交的な性格で
そういうのがやたら好きなタイプなのか。
しばらく考察してみた。
一番可能性があるのは二人ともカルト宗教関係者で
彼女の友達を使い巧妙に勧誘しようとしているのだろうか。
私の様な金も何にもない社会的弱者のオッさんを
入信させて何のメリットもないだろう。
いずれにせよ「何か」あると予断したが
好奇心からヘビメタの指定する期日にそのマンションまで向かった。
下のコンビニ着いたらLINE下さいとの事。
谷町筋沿い7丁目付近だ。
日曜日の夕方だった。
ヘビメタはコンビニまで降りてきた。
部屋着、スウェット。革の黒いサンダル。
やっぱり美少年だ。30才は超えているが
公園の青空の下と違って人工照明下で観るヘビメタ
の素顔は美しく艶もあり雪の華みたいに白かった。女でも少年でもない。彼はヘビメタなのだ。
髪は長く半分顔が隠れている。
色白で小柄、優しい小さな声で話す。
女性に観える。
シャワーを浴びたヘビメタはいい匂いがする。
もう食べ物も酒も用意してるよ、何か買って上がります?といいながらヘビメタは電子タバコを買った。
先、女の子二人来てるよ。あとカップルで二人来ると言う話。
二人コンビニすぐ隣りのマンションに移動しオートロックのインターフォンで呼んだ。
「はぁーい」
明るい声が聴こえ、自動ドアは開いた。
続く。