「定期的に歯科受診をしましょう」 -認知症とともによりよく生きる -

 認知症の人と家族の会福岡県支部の月刊広報誌「たんぽぽ」に「認知症とともによりよく生きる」という連載を行っています。今回、許可をいただいてnoteにも転載することとしました。 
 こちらの記事は、2022年2月号に掲載されたものです。

 みなさん、歯医者さんはお好きですか?

 「はい!」って答える方は少ないのではないかと思います。

 私自身、歯医者さんに行くのが子どもの頃から大嫌いでした。しかし、今では数ヶ月に一回定期的に歯科通院をしています。

 そんなに虫歯があるのかって?、、違います。

 その昔、歯医者さんは虫歯になったら行くところで、行くとガリガリ歯を削られる痛くて怖い場所でした。しかし、その後、歯科診療の中心は治療から予防にシフトしています。

 虫歯になったから歯医者さんに行くのではなく、虫歯にならないように歯医者さんに行くのです。

 虫歯だけでなく、歯周病予防も重要です。

 虫歯で歯が失われるだけでなく、歯周病の進行でも歯が失われます。

 また、歯周病は認知症の発症リスクを高める因子としても知られています。

 かかりつけ歯科医がないと認知症の発症リスクが1.4倍になることや、口腔健康管理の介入を行うと口腔状態が改善するだけでなく神経認知機能が向上することも明らかになっています。そのほかにも、生活環境が同じでも歯が少ないと認知症が進行しやすい、歯の数の変化は認知機能に影響を与える、歯数が少ないほどアルツハイマー型認知症のリスクが高い、義歯を装着していない人は認知症リスクが高い、といったエビデンスもあります。

 誤嚥性肺炎も、嚥下機能が低下したから食事の時に誤嚥して誤嚥性肺炎を起こすと考えられがちですが、胃瘻で口から食事を食べない方でも誤嚥性肺炎を起こします。

 なぜかというと、自分の唾液で誤嚥を起こすからです。口腔内をきれいにたもつことは誤嚥性肺炎の予防のためにも重要です。

 かかりつけ医の重要性が注目されるようになっていますが、かかりつけの歯医者さんを持つこともとても重要です。

 通院が難しい方向けには訪問してくれる歯医者さんも増えています。

 ぜひ、定期的な歯科通院をご検討ください。


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