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そろそろ健康経営度調査票が気になるみなさまへ~令和3年度素案と前年度の違いをみてみた

夏の終わりが近づくと「健康経営度調査票」を書く時期かぁとなる方がいっらしゃると思う。2021年7月19日(月)に経産省の第3回 健康投資ワーキンググループにて議論された「令和3年度健康経営度調査(素案)」が発表された。

健康・医療新産業協議会 第3回健康投資WG 事務局説明資料①」に昨年からの変更点が、トピック的に一部触れられているが、設問ベースで比較した記載がないので今回はその比較をしてみた。

結果、設問の見直しにより設問が減る一方、健康投資管理会計ガイドラインに沿って投資対効果・PDCA・社会的活動をより促す設問が増えている。

申請の簡略化
これまでは健康経営度調査票を提出し、認定を受けた後に法令順守、記載内容の虚偽などがないことの「誓約」や回答内容の「公開可否」について問われていたが、今回は健康経営度調査票提出のタイミングで「誓約」および「公開可否」が求められいてる。

社内向け推進の明文化有無削除
健康経営の推進に関する全社方針を社内向けに明文化している場合に、「何において」明文化しているか、が聞かれなくなった。

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健康投資管理会計ガイドラインに沿った健康経営を促進
健康投資管理会計ガイドラインが2020年6月に公表されている。こちらに沿った設問が追加となっている。従来の産業保健領域の業務を遂行するだけでなく、経営課題に沿って戦略的に健康経営の推進を促していく狙いが見られる。

<今回の設問>

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投資対効果への意識を強める設問
また上記の<今回の設問>と下記の<前回の設問>を比較すると、社外向けの提示内容が「成果」という言葉から「効果」に変わっている。さらに健康経営に関連する各指標について、どのような実績値について具体的に何を開示しているかを問うており、健康経営に取り組むことによる「投資対効果」をより意識させる設問が増加している。

<前回の設問>

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以下、設問が新しく加わった。健康投資管理会計ガイドラインを意識し、戦略的な取り組みを促している。

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また、ストレスチェックの実施結果について、詳細を確認する設問も用意されており、これも具体的に「改善」「効果」を意識させられる。

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健康経営優良法人の立ち上げ当初、健康経営度調査で問われていたアブセンティーズムやプレゼンティーズムに対する詳細の設問が復活した。

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健康経営の推進から「社会」とも繋がっていることを意識させる設問
「グループ会社や取引先」という概念から「サプライチェーン」という枠組みに捉え方を変え、「支援」しているかどうかを確認し、社会全体で「健康経営」を促進する狙いが伺える。

<前回の設問>

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<今回の設問>

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健康経営の推進がSDGsやESGなどのフレームワーク上も意義のあることを意識づけるような設問が追加。

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組織体制の中で、経営レベルの会議への産業医や保健師などの専門職の同席者有無を確認する問いがなくなった。当社の顧客で一生懸命やっているものの経営会議レベルへの参加のハードルは高く、この設問がなくなるのは実施が難しいと考えていた企業には一安心かもしれない。

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「効果」測定の重要性は増しているが、重複感のある設問は削除
情報開示の項にて、「健康経営に関連する各指標について、どのような実績値」を開示しているか、と聞いており、重複感が見込まれるためか、定期的にどのようなデータを活用しているのか、聞く設問は削除されている。

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以上のように回答する側の負担を配慮しつつも、本質的な健康経営を推進すべく、経営課題解決のために、健康経営を実施し、投資対効果を測ることを促す設問設計になっている。

正直これまでは、産業保健領域に+α取り組んでいれば、健康経営優良法人の認定を得られてしまうこともあったが、今回の変更でこのような認定法人は減っていき、より意義のある「健康経営」になることが期待される内容となった。

あくまでも本内容は「令和3年度素案」に対する比較なので8月末に予定している健康経営度調査票の本番では設問内容が異なることがあるので留意頂きたい。

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